writer : testjournalist

【ドラマの女王】三谷作品を狙った? 妙に豪華キャストで固めた『もう誘拐なんてしない』。

新年を迎えだいぶお正月番組にも飽きてきた3日に『もう誘拐なんてしない』(フジテレビ系)が放送された。先月最終回を迎えた『謎解きはディナーのあとで』の作者・東川篤哉の小説が原作だ。嵐の櫻井翔に引き続き、同グループのリーダー大野智を主演に迎えた。

戦隊ヒーローではなく本物のヒーローを夢見て上京した樽井翔太郎(大野)。冴えないまま7年が経過し、戦隊ヒーローショーのアルバイトでなんとか生活している30歳手前のフリーターだ。ある日その戦隊ヒーローショーのアルバイトもクビになり、仕事を探して先輩・甲本一樹(佐藤隆太)のもとに転がり込む。甲本の手伝いをしていると、町内を仕切っているテキ屋花園一家の次女・花園絵里香(新垣結衣)をかくまうことに。そしてその次女は自分の父親違いの妹の手術費を手に入れるために翔太郎に狂言誘拐を頼むのだった。

主演の大野、新垣、佐藤の他に絵里香の姉・皐月に貫地谷しほり、花園一家の組員に要潤、成宮寛貴、皐月の幼なじみに山口紗弥加、その後輩に中尾明慶など主役級のキャストから脇役が上手いキャストまで妙に豪華なラインナップなのだ。公式サイトの相関図を見ていると知っている顔ばかりで、逆にごちゃごちゃして見にくいほどだ。三谷幸喜の作品のようなところを狙ったのだろうか。上手く翔太郎グループ、花園一家と分けられ、バランスよく配分されていた。出演者も全員それなりに力量があるのでテンポよく見ることが出来た。

中でも貫地谷しほりの姉御っぷりが良かった。見た目はいつも通りの彼女なのに、元ヤンの風格が妙に可愛らしい。ドラマ『電車男』での白石美帆を見た時と同じようなギャップを感じた。

そして次に驚いたのは悪役から好青年までなんでもこなせる成宮が、このようなライトな作品に出演していることだ。彼がいるおかげでどこか浮ついた作品の空気が締まっているように見えた。

嵐、東川篤哉作品繋がりということもあり、作中『謎解きはディナーのあとで』の執事・影山役で櫻井翔が、同じく松本潤が1月スタートの『ラッキーセブン』の時多駿太郎役で出演していたりと抜かりないというか、ファンを楽しませる演出もあった。

内容自体はCMや番宣の様子からどちらかと言えば、夕方に放送されそうな軽いタッチのノリだと思っていた。実際、夜見るというよりは、休日の夕方に放送されていそうなノリだった。だから全てがすんなり終わるのだろうなという感覚で見ていたのだが、後半に入って本格ミステリー風になったので驚いた。前半までの軽いタッチから、どう進めるのかと不安になったほどだ。しかしその辺りもガラリと路線変更はせず、それまでのリズムを保ちつつ進められた。それでいて深刻な方向へ持っていくだけ持っていって「え、そんなオチ?」と視聴者をがっかりさせるわけでもなく、まずまずな内容だった。無難な運びに少し物足りない気もしたが、飽きることはなかった。そこは出演者で上手くカバーされていたように思う。そろそろ仕事や学校など現実が近付いて憂鬱な気分を紛らわすにはちょうど良かったのではないだろうか。

今回の妙に豪華なラインナップもそうだが、ドラマの合間に流れる1月スタートの新ドラマのCMを見ていても、どのドラマもやたらとキャストが豪華に感じた。それだけのキャストを揃えて、フジテレビが2012年どれだけ巻き返せるかも見物である。キャストが豪華過ぎて内容が伴わないことだけは避けてもらいたいところだ。

とりあえず、新垣のコメディ作品を見たいと思っていた記者は、前回の『らんま1/2』よりガッキーの魅力が出ていたので満足である。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)