宮崎あおい3年ぶりのドラマ出演作となる『蝶々さん~最後の武士の娘~』(NHK)が19日放送された。2週連続放送の前編。宮崎にとっては2008年に大ヒットした大河ドラマ『篤姫』以来のドラマ出演となる。ここ数年は映画を中心に活躍していた彼女が久しぶりに選んだドラマはやはりNHKだった。
武士の娘として誇りを持って生きる蝶々さんを宮崎が凛々しく演じる。だが、若い人には少しピンとこない前編だった。ちょうど同じ時間帯に『妖怪人間ベム』(日本テレビ系)が放送されていたためか、視聴率も13.4%とベムに惨敗という結果だった。
だが、やはり宮崎は作品選びが上手い。かねてから出演は本人が内容重視で選ぶと言うだけあって、自らの魅力を最大限発揮できる役をよく心得ている女優だ。朝ドラでの『純情きらり』や『篤姫』のおかげすっかり芯の強い女性を演じるイメージが強くなっている。今回の『蝶々さん』もそうだ。下手に民放の連ドラに出演してイメージを覆すよりは、こうしてたまにドラマ出演して、NHKで獲得したファン層に健在をアピールした方が数字も安定して取れるだろう。ワンパターンと視聴者に思われてしまうかもしれない。しかし、彼女は映画では『少年メリケンサック』でクドカンこと宮藤官九郎とタッグを組むなどして、ドラマとは全く違う顔も見せている。こうすることで彼女のファンには飽きさせず、テレビドラマでの彼女しか知らない層には幻滅させない絶妙なバランスを保っていると感じた。実際は、映画の方がテレビよりもハメを外せる作品が制作されることが多いからなのかもしれないが。
そしてなぜ宮崎は時代劇も現代ものもこなせるのだろうか。彼女には生活感がない。その雰囲気ゆえに、変に等身大の現代女性を演じるよりは、現実味をあまり持たない役の方がしっくりくるのかもしれない。過去の出演作も漫画のようなリアリティが少し欠けた世界観のものが多い。宮崎自身もそれが分かっているのだろう。
ただ、年齢を重ねるにつれ、そういった浮世離れした役も減ってくる。そのときに彼女がどういった選択をするのかもまた楽しみである。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)