writer : testjournalist

【ドラマの女王】芦田愛菜に“食傷気味”。でもまだ泣けた『マルモのおきて』SP。

今年の7月に迎えた最終回で視聴率23.9%をたたき出し、大健闘したあのドラマ『マルモのおきて』(フジテレビ系)が9日、スペシャルドラマになって帰ってきた。

数か月ぶりの高木護(通称マルモ・阿部サダヲ)と薫(芦田愛菜)と友樹(鈴木福)は相変わらず仲良く暮らしていた。そんな三人に初めての夏休みがやってくる。三人はマルモの大学時代の後輩・大輔(林泰文)と理沙(白石美帆)が営む山梨県のぶどう園に行くことにする。そこで、薫と友樹は大輔の子ども翔太(矢部光祐)と菜々(清水詩音)と仲良くなる。4人は最近けんかの多い大輔たちに仲直りしてもらうために、願いを叶えてくれる伝説のカッパを探し始める。

夏休みの大冒険がテーマなのかと思いきや、親が思う「子どものためを考えて」の意味とマルモの恋の行方に軽く触れながら作られていた。子どもの大冒険を通じ成長していく様子と家族が一緒にいることの大切さが伝わる内容となっていた。

しかし、出演者のスケジュールが合わなかったのか、マルモを山梨から急遽帰京させるなど少し強引な流れや、職場の後輩・真島孝則(小柳友)の恋愛相談など細かい要素を詰め込み過ぎていると感じる部分もあった。終盤に入るまではそれを強く感じていたため、今回は泣かないですむのではないかと思っていたのだが、やはり最後は子どもたちに泣かされてしまった。
翔太の大切な宝物が仲良く写っている家族写真であったこと、「離れていても家族」というマルモのおきてを信じている薫と友樹だが、自分たちがマルモといつまで一緒にいられるのか分からない不安から翔太たちだけでなく自分たちにも言い聞かせているような様子が一層切なくさせた。

過剰な露出のためか、この年齢にしてどんなドラマに出演しても芦田愛菜ちゃんは「愛菜ちゃん」にしか見えなくなってきているのも否めない。しかし、大人のそれよりずっとしっかり演技をしているところは認めざるを得ないように感じた。バラエティなどで見せる「子どもらしさ」も演技なのではないかと見えてしまうことが玉に瑕なのである。もっと力を抜いて大人が求める模範解答ばかり用意せずに、素でいることも大事だろうなと思ってしまう。

とはいえ、子どもたちばかりがこのドラマを支えているわけではない。マルモ役の阿部サダヲも自身とマルモのキャラクターが上手く活かされており、むしろ阿部の方が子どもたちより子どもっぽい扱いを受けていて、大人と子役のバランスがよく取れていた。その点はさすがと感心する出来映えだった。ただ、ムックがここぞというときにマルモにアドバイスするシーンがなかったことが少し気になった。それがなければ、ムックを喋らせる意味がないと思うのだが、それは記者だけが思っていることなのだろうか。

そんなドラマだが、もう一つブームをもたらしたのが、「マルマルモリモリ~」でお馴染みの主題歌である。今回もそれには負けないくらいの歌を歌っていたのだ。子どもたちがカッパを探す際に口ずさんでいた歌だ。その歌のインパクトがすごく強烈だったのだ。放送から数日経つ今も記者の頭から離れないほどである。あの歌の破壊力は計り知れない。あの歌のブームはいつまで続くのだろうか。そこが少し気になるところである。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)