writer : testjournalist

【ドラマの女王】小栗・山田が妖怪に? まさかの実写化成功のカギはこの二人。『荒川アンダー ザ ブリッジ』。

漫画の実写化で一番懸念されるのはキャスティングである。原作のキャラクターのイメージとそぐわない人が演じれば、それだけで作品のイメージが変わり、原作のファンは離れてしまう。それほど大切なことである。近年、様々な漫画が実写化されているが、原作のイメージを無視して「実写化の話題性×旬の俳優」に頼り、原作ファンを失望させるものも多かった。

そんな難しい実写化の中でも無理があるとされていた漫画に果敢に挑んだドラマがある。現在、TBS系で放送中の『荒川アンダー ザ ブリッジ』だ。

中村光原作で2010年にはアニメ化している。荒川の河川敷に迷い込んだ青年・リク(林遣都)が自称金星人である美少女・ニノ(桐谷美玲)とそこに住む個性的な住人たちとの交流を描いたコメディだ。1話10分程度、数話で構成され、早いテンポで進むため気軽に楽しめるのが特徴である。

そんな通称『荒川UB』の魅力は個性的な河川敷の住人たちだ。河童だと思い込み河童の姿をした(でも首から素肌が見えている)村長をはじめ、星の形の被りものを被ったミュージシャンの星。巨大な元傭兵のシスター(男)、鉄の仮面を被った双子の少年など主人公のリクとニノ以外は漫画だからこそ活かされるビジュアルと設定のキャラクターばかりである。この個性的なキャラクターこそが実写化は無謀とされた理由である。

中でも特に重要であり、不安視されたのが河童の姿をした村長と星である。この人ならざる?ものを演じる、いや化けているのが、小栗旬と山田孝之なのだ。まさかのキャスティングに誰もが驚愕したのではないだろうか。しかし、放送前に解禁された二人の写真の完成度に誰もが納得したのも事実ではないだろうか。あの写真で『荒川UB』スタッフの本気を感じることが出来た。そう、小栗の村長と山田の星は予想を上回るクオリティの高さだったのだ。

二人ともパッと見ただけでは誰だか認識出来ないほど顔を緑と黄色に塗りたくり、村長役である小栗に至っては、緑の全身ウェットスーツ着用である。星役の山田はただ星形のかぶり物に顔を黄色く塗っただけのはずなのに原作と瓜二つ。これにはキャスティングしたスタッフの見る目に脱帽である。
それは彼ら二人だけではない。巨大なシスター役に城田優、ドSキャラのマリア役に片瀬那奈、村長大好きな農業娘・P子役に安倍なつみなど、どれもビジュアルから内面に至るまでそっくりなのだ。実写ドラマでこれだけキャスティングに不満がないものが他にあるだろうか。キャスト、内容、美術、どれを取っても文句のない仕上がりである。ただ一つだけあるとすれば、主人公リクが他のキャラクターに比べ、個性が薄いためか演じている林も、その普通さをどのように演じていいものか掴みきれていない感があるところだろうか。しかし、それも荒川河川敷で暮らす住民たちに振り回され戸惑う様子が表れていて良いのかもしれない。

まさかの実写化成功に続き、まさかの映画化まで突っ走る『荒川UB』。ドラマは30分だからいいが、約2時間は必要であろう映画もこの勢いで切り抜けてしまうのか、今後も目が離せない。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)