アジア発!Breaking News

writer : katakura

【アジア発!Breaking News】台湾が「出生率世界ワースト1」に。産まない理由は「経済的負担」。

内政部の統計によると、一昨年は出生率(女性1人が生涯に産む子どもの数を示す指標)1.03で最下位のドイツとは0.01という僅差でワースト2位を記録した台湾だが、昨年の出生率は1.0を大きく割り込み、過去最悪となる0.895で、世界最低になった。

内政部は一昨年からの出生率の低下について、一昨年が「結婚すると配偶者をなくして一生寂しく過ごす」といわれる「孤鸞年」にあたったことと世界的金融ショックが発生したことが影響したとみており、昨年についても、結婚には縁起が悪いとされる「寅年」であったことなどが影響したとの見方を示している。

今年は景気回復に加え、中華民国(台湾)の建国100周年となる記念年とあって、結婚するカップルも多い。さらに、来年は「成功する」といわれる「辰年」。出生率の増加が見込める。しかし、記念や干支に頼った出生率の増加は一時的なものでしかない。

これまでにも政府は少子化対策として、出産手当や育児手当の支給を実施するなど、出産意欲の向上を図ってきた。しかし、そういった政府の対策に対し、最もよく聞く国民の意見は、「子どもは産むだけじゃなく育てなければならない」というものだ。政府がいくら出産や、幼児期の手当支給で出産を呼びかけても、本当にお金がかかるのはその後だということだ。

台湾の出生率世界ワースト1の報道を受け、Yahoo Taiwanが行った「産まない理由」についてのアンケート調査では約11,000人が回答し、そのうち73.6%が「経済的負担」が一番の原因であると答えている。このことからも、多くの人が、産むタイミングを計っているのではなく、産まない選択をしていることがわかる。

少子化問題は国の財政悪化につながる重要な問題である。「産む」だけでなく、「育てる」ことも視野に入れた対策を打っていかなければならない。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)