彼女は一見イマドキのティーンエイジャー。だが彼女は、大人も顔負けの冷静な判断力と迅速な応急措置で1人の女性の命を救ったヒロインなのだ。
このティーンエイジャーの名前はアレクサンドラさん。オーストリアの首都ウィーンに住むごく普通の13歳の彼女は、イタリアのヴェネツィアにほど近いリゾート地・イェーゾロに休暇のため、家族と共に滞在していた。
先週火曜日の夕方5時半頃、もう一泳ぎしようと海に入った彼女はそこから、桟橋近くにいた1人の女性の異様な光景を目にした。その女性はうつぶせの状態で海の上に浮かんでおり、アレクサンドラさんは当初、何かの冗談でそういうことをしているのだと思ったそうだ。だがそれにしてはあまりにも様子が変だと思ったアレクサンドラさんは女性に近づき、身体を軽く揺すってみたが、彼女は何の反応も示さなかった。異常事態を確信したアレクサンドラさんは、海から大声で叫び救助を求めたのだが、声が届かなかったのだろうか、誰も動き出す気配を見せなかった。
そこでアレクサンドラさんは、自分が女性を助けることを決心。幸い、彼女は以前学校で応急措置方法を習ったことがあり、どのように対処すればよいかは分かっていたため、躊躇はなかったそうだ。女性の体重は約130キロ、自身の体重の約3倍もあったのだが、アレクサンドラさんはそれに動じることはなかった。彼女は女性の身体を引っ張り上げるための握りの部分を作り、それを使い女性の身体を無事浜辺まで運び上げた。浜辺でアレクサンドラさんが応急措置を施し女性の顔を叩いていると、女性はゆっくりと目を開き、蘇生した様子を見せた。それとほぼ同時に、監視人が連絡した救急車によって、女性は無事に病院に運ばれた。
この女性は糖尿病を患う35歳のイタリア人で、かなり衰弱した様子であったというが、アレクサンドラさんの応急措置が功を奏し、病院に運ばれたその日の夜にはもう退院許可が下りている。
アレクサンドラさんの冷静かつ迅速なこの救急行為は周囲から絶賛され、彼女はイェーゾロの名誉救急隊員に選ばれた。
またこの事件がきっかけとなり、アレクサンドラさんは将来医師になりたいと思うようになったそうだ。彼女なら、きっと素晴らしい医師になるに違いない。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)