姥捨山(うばすてやま)の物語をもとにした映画「デンデラ」で老婆役を務めた草笛光子、倍賞美津子がラジオ番組で撮影について語った。
佐藤友哉の小説「デンデラ」を原作とするこの映画は、姥捨山に捨てられた老女達が山中で集落を築き生き延び、復讐を企むという物語だ。集落の長、100歳の老婆を演じたのは草笛光子(77)で、彼女とは考えを異にする立場の老婆を倍賞美津子(64)が演じている。
6月18日に放送されたラジオ「シネマフル・ライフ」(FM FUKUOKA)ではベテラン女優2人にインタビューを行った。松竹歌劇団から松竹映画へと進んだ2人は先輩後輩の間柄だが一度も共演したことが無かったという。「日テレの廊下ですれ違ったことがあるだけね」と草笛光子が思い出していた。それでも後輩の倍賞と共演できることは心強かったそうだ。「過激なこの世界では味方がいた方がいい」と草笛は話した。倍賞美津子も草笛先輩との初共演は「息がピッタリですぐにハモる感じだった」と語り、やはり松竹歌劇団時代に歌をやっていたからとお互いに納得していた。
草笛光子は今回、100歳の老婆役の話をもらった時に「なんで、私なの? 他に100歳のお婆さんを演じる人はたくさんいるのに!?」と不満だったそうだが「元気だから」とその理由を聞いて受けたという。ところが撮影が始まると天願大介監督の方針が「条件は過酷なほど良い」というだけあって実際に雪山の吹雪の中で行われたのだ。「老人虐待よ!」と草笛光子は笑いながらも訴えるように言った。しかし、彼女はスタジオでやったらあの演技はできなかったと言い、「みんなの団結力もあの環境だから強かった」と監督に敬意を表した。倍賞美津子は「監督はペテン師みたいなものだから、ああやって気がつくとやる気にさせられてる」と自分も天願監督にのせられたことを認めていた。
映画の撮影が終了してしばらく経つ今でも草笛光子は「デンデラ病にかかっている」と苦笑した。「老人はクズしゃねえ! 人間だ!」というセリフが頭から離れないそうだ。倍賞美津子も演技で使った訛りが今も取れないと話していた。この映画の主演は浅丘ルリ子である。ここまで存在感のある2人が浅丘ルリ子と絡むことを考えるとその場面が迫ってくるようだ。6月25日から公開予定の映画「デンデラ」が楽しみである。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)