新北市に住む一人の男性(27)が、2年前にタバコのポイ捨てで罰金を科せられたことをきっかけに、痰の吐き捨て、ゴミのポイ捨てなどの違反をビデオで撮影し検挙することを始めた。2年間の検挙総数5000件以上、獲得賞金は150万元(約430万円)にのぼる。
男性が検挙しているのは、「エコ検挙」と呼ばれる制度で、ゴミやタバコのポイ捨て、檳榔(ビンロウ)の吐き捨て、勝手にチラシを貼り付ける、ペットの糞を片付けないなどの違反者に対し科せられる罰金1200~6000元(約3400~1万7000円)のうち数十パーセントが検挙者の賞金となるものである。(パーセントは市や県によって異なる)
以前はサービス業に勤めていたこの男性。当時の月給は2万元(約5万7000円)だったという。しかし、2年前に検挙を本職に変えてから、毎月の収入は勤めていた頃の3倍になった。男性は検挙の証拠効果を高めるため、ヘルメットに装着する小型カメラも自分で開発したという。
男性は更に、1年前から塾も開講しており、いかに検挙するかを一対一で教えている。授業は1日だけのスピード講習で学費は7000元(約2万円)。それでも失業率が高いこともあってか、すでに50人以上が達人の技を学び、賞金を稼ぐために街へ繰り出しているという。
街がキレイになり地球にも優しいとなれば嬉しいことである。ただ、検挙の際には疑わしい人の後を追って撮影をするという検挙方法は少し心配だ。実際、この男性も隠し撮りに気付かれて逆に追われたことがあるそうだ。隠し撮りをするにしても、「エコ検挙中」などのステッカーやワッペンを付けて堂々と検挙活動を行った方がいいのではないか。賞金稼ぎを目的にしている人には不利になるが、街の意識を高めるという本来の目的には効果的ではないだろうか。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)