エンタがビタミン

writer : maki

【エンタがビタミン♪】「偽善だと思われても…」。SMAPが生放送で1時間超。震災後の“いいとも再開”や“都民の声”に対して本音トーク。

東日本大震災発生後に放送された3月21日のテレビ「SMAP×SMAP」は震災特別番組として生放送された。震災に関する都民の声を聞きSMAPメンバーが思いを語るという内容となった。

この日の「SMAP×SMAP」は『いま僕たちに何ができるだろう』というテーマで組まれた。

スタジオに揃ったSMAPの5人は被災された方へのメッセージと共に「世界に一つだけの花」を歌った。その後も従来のバラエティ色は抑え、震災に対してのFAXメッセージや東京都民へのインタビュー内容を紹介しながらメンバーがコメントするという内容で進行した。

メインで進行した中居正広は『SMAPがこうしてボランティア的な呼びかけを、表立ってやることは少ない』と、彼らとしても特別な放送だと語った。さらに彼は「こうして決断したのも、どっかで偽善だって思われるかもしれないけど。そういうのは二の次三の次で、評価とかではなくて僕たちが今やるべきことはなんなのかなって!」と敢えて特別番組とした思いを語った。

番組にはFAXで視聴者からのメッセージが多数届いており、中学1年の女の子からの「節電をみんなでやれば明かりがつく」というFAXに木村拓哉が共感した。彼は「計画停電を発表されて、みんなが節電したことの成果で計画停電がナシになった時に、俺の中で『ヨシ!』っていうものがあったね」と熱く語った。

節電や節水などに関しては都内でのインタビューでも都民がいかに努力しているかが伝わる。ある男性(推定20代)は「電車とかも止まっているんで、こうやって自転車とかで移動するように心がけてます」と言う。ある女性(推定20代)は「お風呂も溜めないようにして、トイレも2回に1回流す」と節水に取り組んでいることを話した。

母親と都庁に支援物資として介護用のおむつを届けに来た小さな女の子は「床暖房とかエアコンとかなるべく消している。上着を着ればエアコンとかつけなくても全然大丈夫!」と力強く話していた。

そんな都民の努力を聞いて中居正広が「待機電力っていうのがあって、コンセント抜くだけでも少しずつやればね!」と説明。草なぎ剛が「みんなでやればそれが大きくなりますよね」と言えば、木村拓哉は「絶対でかいってっ。絶対でかくなる、それやれば!」と共感した。

また、被災地に対する声も多数寄せられており、その中から若いお母さんからのメッセージを木村拓哉が紹介した。
「義理の兄は東電に勤めています。原子炉の近くで作業をしています」という女性の娘が、毛糸などを使ってメダルを作ってくれたという。まだ幼いと思われるその少女は『みんなのために頑張ったからメダルを作ったの』とそのメダルを彼女(母)に見せた。母親は「そんな姿に涙が溢れました。今私は節電にこころがけています」と伝えてきた。

原発周辺で復旧に努める人々に対して、中居正広が「命がけですからね。絶対僕たちは忘れてはいけないと思います」と神妙な面持ちで語った。

逆に被災者の思いも聞こえてくる。都内で米屋を営む女性の言葉にはメンバー全員が感動した。米どころでもある被災地の方が『こちらが落ち着いたら一刻も早く東京にお米を送り出すよ。待っててね』とライフラインが十分でない状況でも『早く体制が整えられるようにやってるから』と伝えてきたのだ。自らの苦境は後回しにして、米を届けることを最優先する生産者の方には頭が下がるばかりである。

8歳の大阪の女の子からは「今私たちにできること。みんながやさしい気持ちになって助け合うことです。私のお父さんは水道を直しに4月になったら岩手に行きます。お友達のお父さんはお家を作りに岩手に行きます」と復興のために被災地へ向かう人々がいることを伝えた。さらにその女の子は「私は募金をしました。SMAPはいっぱいテレビに出て歌を歌って、人々の元気が出るようにしてください。できれば募金もしてね」と結んでいたのだ。それに対して、中居正広は「僕らも今後バラエティをやっていいものか。娯楽と不謹慎の差が正直わからない」とメンバーに投げかけた。

香取慎吾はこの日震災後に初めて放送された「笑っていいとも!」に出演していた。彼は「始まる前に不安なこともあった。でも、始まったら自分がちょっと『ほっとする』部分があったり『自分の中で元気が出たな』と感じた。こういう思いを感じてくれる方のためにも今は一生懸命頑張ることだと思った」と心境を明かしたのだ。香取はその日“いいとも”に地味なスーツ姿で登場しており、彼の心境がそんなところにも表れていた。

木村拓哉も“いいとも”を見た感想を「俺だって、今日“いいとも”で、まとまった人たちの笑い声を聞いて『あ、笑い声だ!』って久々に思った」と語った。中居正広は「野球も開幕でいろいろ賛否あるように、我々もSMAP×SMAPをいつから再開していいのか迷いますね」と番組を従来の内容に戻す意義について考えていた。

また、中居正広は義援金を騙った詐欺行為なども起きていることに触れて憤慨した。中居は「詐欺!? それ引っかかる人も気をつけないといけないけど、詐欺やろうとしてる人。ちょっと、やめないかな! 義援金という人の善意を…もう、何考えてるのかなって…それ、今の時期ホントやめてくれないかなって思いますよね! 何やってんだろうって…」と言葉を詰まらせながら訴えた。

「そういう人いるかもしれないけど」と、それに対して木村は被災地の人々に目を向ける。「被災地の人が口をそろえて言う『大丈夫、元気でやってるから』っていうのが凄い力もってる」と彼は思いを話す。香取も「今、改めて『元気とか勇気とか希望とか』本当にその言葉が大切な時期なんだって思う」と同じ気持ちだと話す。稲垣吾郎も「冷たい人の心を温めるのは、結局、人の心だもんね」と共感を示した。

ラストは彼らの楽曲「どうか届きますように」~「がんばりましょう」をメドレーで熱唱。中居から視聴者へ「みなさんに本当に僕らが教えられたような気がします。みんなで乗り越えて行きましょう」と語りかけると、全員で「みなさんの気持ちがどうか『届きますように!』」と結んだ。

震災後1週間が過ぎてバラエティ番組も再開され始めた。タレントや芸人が「自分のできることを精一杯やる」とパフォーマンスで気持ちを伝える内容には“いいとも”がそうであったように多くの人が元気をもらえる。だが、そんな中で今回はアイドルグループが震災に関する特別番組を届けたのが印象的だった。

先日3月18日に木村拓哉がFM番組で震災後の活動について「言えないけど、いろいろ考えている」と話していたことのひとつが、今回の「SMAP×SMAP」のことだったようだ。そしてSMAPだからこそ1時間超をこの内容で届けられたのではないか。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)