「今妊娠すれば、辰年の子が産めますか?」
ある産婦人科医によれば、これは、最近不妊治療に訪れる患者の多くが尋ねる質問だという。医師が計算したところでは、今年の4月30日から来年の5月15日の間に妊娠すれば、辰年の赤ちゃんを産める可能性があるようだ(旧暦による計算)。近年少子化が深刻な問題となっている台湾だが、干支で歯止めがかかるのだろうか。
中華圏では辰年の出産が人気である。「将来成功する」と考えられていることがその理由のひとつだ。不妊症及び体外受精の専門医によれば、昨年末から体外受精を望む患者の9割から「辰年の子が産めるか」と質問を受けているという。先月や今月に体外受精を行う予定だった29名の患者が既に5月以降への変更を決めている。
12支の中で比較的人気がないのは寅年であり、昨年の寅年の出生数は16万6886人で、出生率は1.0と衝撃的な数字だった。しかし、寅年の出生率低下はあらかじめ予測されていたことであり、卯年の今年は少し改善、来年の辰年には19万人から20万人の出生が見込まれている。根拠となるのは過去のデータで、辰年は寅年の1割増しという傾向があるようだ。
とはいえ、90年代後半以降急激に少子化が進んでいる台湾。1998年の寅年に比べ2000年の辰年は確かに増加しているが、その後の巳年以降は減少する一方であった。今回も辰年で一時的に減少が止まったとしても、それで少子化改善とは言い難い。現在、少子化対策として出産手当や育児手当などを支給している市もあるが、社会に「こどもは公共の財産である」という意識が根付かない限り、こうした対策も一時的な効果でしかないのだ。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)