「“はんにゃ”がブレイクして、オリラジは吉本から放っとかれるようになった。」お笑いコンビ・オリエンタルラジオの中田敦彦が、吐き捨てるように言った。聞き手は、中田の幼なじみであるNHKディレクターの川口氏。中田が今の相方・藤森とコンビを組む前に、一緒にお笑いの世界を目指していた時の元・相方である。
お笑いのプロとしてはやっていけない―と芸人を諦めテレビ製作の道を選んだ川口氏は、それでも友人には変わりないと中田に連絡を取ろうとするが、彼からの返事はこれまで約5年間一切無かった。
「自分に利益があるかどうかが、人付き合いの基本。」と中田は言い放ち、今回の密着取材を受けたのも川口氏に“NHKディレクター”という肩書きがあるからだという。それでも「俺とお前は、友達だよな。」と食い下がる川口氏に、「友達の概念が違う。」と突き放した。
落ち込んだ川口氏は今の相方の藤森に、上記の出来事を話してみた。すると藤森は笑いながら、「まぁ~ね、それを露骨に出すヤツだからね。」と慰める。自分はもう、そういうのには慣れっこだ―という口調である。
下積みの経験がほとんど無く爆発的に売れた、オリエンタルラジオ。かつてはゴールデンで冠番組まで持っていた。それが今では仕事は選べず、競艇場のレースとレースの繋ぎのステージにも出なければならない。観客は競艇新聞に夢中になっている、中高年の男性ばかり。営業が終わると足早に中田は、競艇場を後にした。
「前に進めるなら、どんな仕事でもやる。だが人に認められない仕事は、したくない。」吉本のマネージャー責任者に中田は直訴するが、「大阪の芸人たちはみんな、我慢して仕事をやっている。」と逆に諭される。そんなやり取りも1月30日深夜放送の『ドキュメント20min.』(NHK総合)で放送された。
昔と違い今は、仕事のために先輩との付き合いもするが、(ネタ作りなど)自分の時間が取れないのが不満らしい。赤裸々に自分の考えを理路整然と話す、中田。密着取材最終日に中田の自宅を訪れた川口氏は、深夜に彼が書き終えたばかりの新ネタの相手をしたい―と申し出た。取材を通し中田の現状を間近に見て、「何とか力になりたい。」との思いからだった。一生懸命にセリフを言う川口氏の姿に、中田は何も感じなかったのか。
相方の藤森は、「あなたの依頼じゃなかったら密着の仕事なんて本来、中田は絶対に受けない。本人は気付いていないかもしれないが、明らかに取材されている期間は彼は楽しそうだった。見たことの無い中田だった。」
その言葉が幼なじみの川口氏にとって、唯一の救いだっただろう。
(TechinsightJapan編集部 みやび)