俳優の風間トオルの幼少時からの話は、過酷すぎた。彼が淡々と語るので、余計に心が痛くなる。数多くの人と対談している黒柳徹子でさえ時折、声を詰まらせていた。
11月16日の『徹子の部屋』(テレビ朝日)に出演した風間トオルは、経済的に苦しく満足に食事が摂れなかった幼い頃のことから話し始めた。
彼が5歳の時に両親が離婚、父親と父方の祖父母と暮らし始めた。しかし間もなく父親が家から居なくなり、祖父母と風間の3人での生活となる。
一家の働き手がいなくなり、生活は非常に苦しくなっていった。当時はボロボロの狭いアパートに住み、食べ物を買うお金にも困るような経済状態。公園に生えている草を食べたりもしていたという。「小学校に通うようになったら、給食が楽しみで。人の分まで、食べていました。」と語る。
家計が苦しい上に、風間を長年悩ませたのが祖父の介護問題だった。彼が小学校に入った頃から、既に認知症の行動があった祖父の面倒を風間が担うしかない状況だったという。
「祖母はパチンコが好きで、家にいないことが多かったんです。」と苦笑しながら、祖父の生々しい様子を語る。夜昼と無く徘徊し、なかなか帰宅したがらない祖父に付き合っていたという風間。嫌がることなく祖父の面倒を見ていたが、ある日の小学校からの帰り道、「あのじいさん、見ろよ。」友達が指さす方向を見ると、素っ裸で用を足している風間の祖父の姿があった。さすがに友達の前では知らぬフリをしたが、帰宅後あわてて祖父を迎えに行ったという。また祖父は自分の排泄物を、自宅の壁に塗りつけていたこともあった。それを掃除するのも、風間の役目だった。
黒柳徹子が「あなた、よく逃げないで耐えたわね。」と感心すると、「毎日生活するのに精一杯で必死だった。それに認知症の祖父とお人好しの祖母を、見捨てることは考えられなかった。」風間トオルは、感情を表さずに語った。“自分が、(二人の)面倒を見るんだ。”と小学生の頃から、いつのまにか覚悟はできていたという。
「今もお金が無くても辛抱できるし、少々のことでは動じないですね。」と最後に話していた風間トオル。誰を恨むことなく、強い精神力と人に対する思いやりを持って過ごしていた少年時代。昔から“苦労知らずのお坊ちゃん”に見られるという彼に、そんな過酷な時期があったとはおそらく誰も想像したことは無いだろう。今は愛犬と穏やかに生活している、風間トオルである。
(TechinsightJapan編集部 みやび)