27日、台湾が主要5都市に編成されてから初めてとなる市長選挙が投開票され、与党である国民党が北中部の3つのポストを、野党民進党が南部の2つのポストをそれぞれ維持する結果となった。
任期半ばを過ぎた馬英九政権に対する信任投票ともなった今回の選挙。特に注目されていたのは国民党の基盤である台北市と台北県である。投票前の世論調査では、国民党支持者、民進党支持者、未定者がほぼ同率で、予測のつかない状態であった。しかし、蓋を開けてみると国民党が圧勝。投票日前日に起きた銃撃事件が投票率を上げ、同情票を集めたと考えられる。
投票日前日、与党の連戦名誉主席の長男が台北市長候補者である郝龍斌現台北市長の応援のためステージに立っていたところ、突然ステージに上がってきた男に至近距離から顔面を銃で撃たれる事件が起きた。しかし、「強運の持ち主」とはまさにこういうことを言うのだろう。銃弾が顔面を貫通したにも関わらず、命に別状はなく、既に言葉を発したり、ご飯を食べたり、微笑んだりできるまでに回復、術後の後遺症の心配もないという。
もちろん、同情票だけで圧勝できるわけはない。特に台北市長について言えば、花博の開幕が挙げられる。準備期間からプレオープンにかけては散々なダメ出しを受けていた台北市長だが、11月6日の花博開幕後は支持率が日に日に上がり、ほかの候補者と差を広げていたことからも、その成功は明らかであろう。
2012年に行われる総統選の前哨戦とも言われた今回の選挙。国民党は3ポストで勝利したものの、全体の得票率は民進党が49.87%で国民党の44.54%を上回っている。民進党は総統選挙に向けて手応えをつかんだと言えよう。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)