現在公開中の映画『大奥』で主演を務める嵐・二宮和也がトーク番組に出演した。キスシーンが嫌いな理由からアイドル処世術?まで、気心の知れたジャニーズ事務所の先輩、後輩と語らいながら、他では見せない本音をのぞかせた。
9月24日放送の『ザ少年倶楽部プレミアム』トークセッションは二宮和也(嵐)×大倉忠義(関ジャニ∞)。映画『大奥』で初共演を果たした2人の、互いの印象から普段はあまり聞くことのできない真面目な演技論まで、MCを務めるTOKIOの国分太一が、和やかなムードの中、彼らの本音を上手く引き出した。
ジャニーズ事務所の先輩、後輩の関係にある2人。事務所には二宮が1996年、大倉が1997年とほぼ同時期に入所したが、歩んできた道のりは対照的だ。番組内で過去の映像が流れると、ジュニア時代から常にセンターや最前列で歌い踊ってきた二宮に対し、メンバーから「努力の天才」と評される大倉は、歌やダンスを披露するジュニアたちの後ろで、ドラムや和太鼓を演奏する姿が映し出されていた。CDデビューも嵐の方が5年早い(1999年デビュー、関ジャニ∞は2004年デビュー)。
そんな2人が初共演した映画『大奥』について語る中、共通して演技に対する真摯な態度が伝わってきた。
例えば、二宮はキスシーンが嫌いだと発言。その理由を問われると、「なぜキスは本当にするのに、死ぬシーンはリアルにしないのか」と思ってしまうからだと言う。死ぬ場面は演出で観客に死んだことを想像してもらうのに、なぜキスは本当にしなければならないのか、と思ってしまうそうだ。
すると大倉も、『大奥』の撮影に際し、「斬られたらどれくらい痛いのか」「武士は斬られる時に声を出さないというのは本当か」と周りに聞いてみたが「斬られたこと無いから、わからない」と誰も答えてくれなかった、というエピソードを披露した。
確かに、撮影で本当に死ぬわけにはいかないし、今生きている人間で本当に武士として斬られた経験は誰も持っていないのだから、彼らの抱く疑問は周りからは軽く受け流されてしまうかもしれない。しかし、彼らの話からは、自分の役そして演技と、それだけ真剣に向き合っている様子が強く伝わってきた。
印象的だったのは、ソロ活動がグループを大きくする原動力になる、という彼らの思いだ。「自分がドラマに出ることが、グループを大きくすることにつながれば嬉しい」と言う大倉に、二宮は大きく頷いた。
実は嵐には、デビューしてから数年後、一度目の24時間テレビのメインパーソナリティを務め終えた2004年秋頃から売れない時期があったと言う。それを救うきっかけになったのが、メンバーの松本潤が主演したTBSドラマ「花より男子」。このドラマの主題歌は、前作のCDの約2倍の売上を記録したそうだ。こうした経験があるからこそ、ソロ活動はグループの為、という二宮の説には説得力がある。
また、二宮にはこんな逸話がある。以前ハリウッド映画へ出演した際、そのインタビュー会見で「私は俳優ではございません。アイドルグループの一員です」と答えたのだ。そしてそのスタンスは今も変わっていない。二宮は嵐としてのデビュー以前から、個人でドラマや映画で活躍し、その演技力には定評がある。既に俳優として高い評価を得ていながら、なぜ個人の活動でも自らを「アイドル」と呼ぶのだろうか。
二宮は個人の仕事でも「嵐だから呼ばれてるんだろうな」という意識があると言う。映画やドラマの現場には、役者を本業とする人だけでなくアイドル、芸人など様々なジャンルの人たちが集まって作品が作られている。だからこそアイドルとしてジャニーズ事務所から「出向」しないと、現場のパワーバランスが崩れる、と考えているそうだ。実は前述のハリウッド作品では、オーディションでその役を勝ち取っており、彼が“アイドル”という看板無しでも十分評価されることは明らかだ。にもかかわらず、自己評価が大変厳しく、実に客観的に自分の置かれた立場を認識していることに驚かされた。
国分は最近の嵐の活躍ぶりに目を瞠り、彼らを「尊敬する後輩」と呼ぶ。しかし、当の嵐のメンバーは「このバブルがいつ終わるか」と話していると言う。周囲の熱狂とは対照的に、状況を静観する目を持つアイドルたち。その冷静さと、努力に裏付けされた実力があれば、彼らの人気は決してバブルで終わることは無いだろう。
(TechinsightJapan編集部 子葉)