EU発!Breaking News

writer : testjournalist

【EU発!Breaking News】ニジェール北部の危険地帯で再び仏人5人誘拐される(仏)

単なる誘拐事件とは言い切れない。背景には、貧困で苦しむ国民の怒りが、裕福な欧米人への戒めと変わり、イスラム過激派アルカイダと結びついたという要因がある。

西アフリカのニジェール共和国で先週木曜日未明、フランス人5名が何者かに誘拐された。2人の現地人と共に消息を絶った、5人のウラニウム開発関連のエンジニア達の安否が現在問われているが、犯人からの犯行声明は未だ出されていない。
アルジェリアとの国境近くの町アーリットで起こった今回の誘拐事件。このウラニウム開発企業であるアレヴァ社は実は2008年6月に4人の雇用者が反政府によって誘拐されたという経験を持つ。その際には、誘拐された数日後全員無事に解放されているが、今回はニジェール共和国の内政事情が当時と変わったということもあり、事態を重く見る必要があるとしている。今年4月19日に78歳という高齢にも関わらず現地で誘拐されたフランス人が、アルカイダグループの手によって3ヵ月後の7月25日に殺害されていることも不安に拍車をかける形となった。

会社側としては事態が解決するまで雇用者の安全確保を最優先として、現在希望者20人ほどが既にフランスに帰国しており、現地に残る人々も、グループ行動を義務付け、誘拐現場から1200km離れた首都のニアメに全員移動させた。

ウラン鉱業を主力とするこの国では、半世紀にも渡り欧米企業が資源開発のため進出しているにも関わらず、国民の大半が電気も水もないという貧しい生活を余儀なくされている矛盾がある。その背景には、欧米国が採取する資源を各々自国に輸出という形で送っているため、ニジェール共和国の発展に貢献していないということがある。そのため、国民の貧困に対する不満は、様々な反外国人武装組織結成という形で表れている。彼らは施設への攻撃や外国人技術者への襲撃、誘拐を繰り返している。21世紀に入り、その数ある組織はますます過激になっており、現在は政府の手に負えない状況にまで悪化している。

フランス政府によると、今回の誘拐はアルカイダグループの犯行という見解が強い。また今月初めには、エッフェル塔に爆弾を仕掛けたという匿名の電話があったこともあり、フランス側としては、さらなるテロリスト対策を強化せねばならないだろう。そして、誘拐された7人が一日も早く無事に解放されることを願わずにはいられない。
(TechinsightJapan編集部 福山葉月)