writer : techinsight

【親方日の丸な人々】人事院勧告2010 多様なキャリアマップで公務員人材の流動化を

公務員の給与を改定(賃下げ)する人事院勧告が今年も行われた。
官公労が支持する民主党政権下で公務員制度改革が重要政策課題となっていて、公務員労働者の権利を守るわけにはいかなくなっているのが皮肉にして面白いところである。

官公労側も、民主党の掲げる外国人参政権や子ども手当には賛成の立場を取りながら、公務員制度改革には反対とするのは、いくら「是々非々」であると言い訳しても、現実には通用するはずもなく、労使双方のややこしい関係は複雑化するばかりである。

今回の勧告が完全実施された場合の人件費は、790億円しか減らないという。総人件費の2割、1.1兆円とは大きな隔たりがある。

単純に年収を2割下げれば良いというものではない。公務員の労働条件悪化は、すぐさま民間企業の模倣するところとなり、国民全体の生活水準低下につながる。

なりふり構わず人件費削減を断行するのであれば、いくつか方策は考えられる。

ひとつは、退職金も含めた生涯年収のフラット化である。管理職昇任を拒否する者、あるいは事務能力が低く管理職に不適格な人材については、おおむね40歳を目処にむしろ勧奨退職を進めたほうがよいだろう。

もちろん、自力再就職が可能になるよう、現役勤務中から多様な研修の機会を設け、それぞれのライフステージに応じた、キャリアマップが描けるよう人事面での配慮が必要である。

もうひとつは、本連載でもたびたび指摘し、公務員批判の急先鋒、若林亜紀氏も指摘していた「夫婦公務員」の処遇である。

職場結婚の夫婦公務員は、本来、個別に人事を実施しても差し支えなく、夫は北海道勤務で、妻は九州勤務としても何ら問題はない。

しかし、そこはお役所の甘いところで、なるべく夫婦/家族が一緒に暮らせるよう手厚く人事配慮がなされている。

そして、夫婦公務員の世帯手取り年収は40歳で軽く1千万円を超える。
余裕で自宅を購入し、夏休みは海外旅行を楽しむといった豪奢な生活をしているのだが、もともと公務員の給与は、公務に専念するために生活の保障をするものである。

生活維持の限度を超えて夫婦で資産形成に専念するというのであれば、定年まで同居できなくてもやむを得ないというくらいの問答無用の人事を断行しても良いだろう。

それがイヤなら第一点目として挙げた、40歳を目処の転職プランによって夫婦どちらかが自主退職し、減員補充として新規採用枠を拡大すれば良い。

お役所に限らないが、組織を支えているのは、中堅クラスの職員なのである。50代になっても管理職にならずに、慣れ親しんだ末端業務を惰性でこなしながら、資産形成をしているお役人こそ、進んで人件費削減に協力して欲しいものである。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)