台湾台北県山峡にあるビルで、男性がエレベーターから降りようとしたところ、開いた扉の先から遺体が倒れ込んでくるという事件が起きた。男性は、このビルの5階にあるリハビリ介護施設「永丞康復之家」に入院中の患者で、外出後、施設に戻る際エレベーターを利用した。しかし、誤って6階のボタンを押してしまい、遺体を発見することになった。
警察の調べによると、遺体は軽度の知能障害と統合失調症のために同じく「永丞康復之家」に入院していた48歳の女性患者で、一週間前から行方が分からなくなっていたという。警察は失踪の届出を受け捜索していたが、女性が発見されたのは死後10時間後だった。
女性がなぜ施設の上の階で死亡するに至ったのか。監視カメラがその瞬間を捉えていた。
このビルの6階は現在使われておらず、エレベーターの扉の前には鉄門が取り付けられている。5階の施設に戻ろうとして、誤って6階に着いてしまったとみられる女性は、その鉄門を不思議に思ったのか、エレベーターを降りてしまった。不幸にもエレベーターの扉は閉まり、鉄門との間約30cmの空間に閉じ込められてしまったのだ。手を伸ばしてもエレベーターのボタンには届かず、座ることも向きを変えることもできない狭い空間で7日間奇跡を祈り続けた女性は、脱水のために死亡した。
なぜ、使われていない階を封鎖する必要があったのか。なぜ、ボタンも押せないような場所に門を取り付けたのか。リハビリ介護施設はなぜ、監視カメラを確認するなどの積極的な捜索をしなかったのか。身動きの取れない暗闇の中で誰にも気付かれず衰弱していった女性を思うと、結果論とは分かっていても「なぜ?」と問わずにはいられない。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)