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【親方日の丸な人々】夫婦別姓法案とコンクリート行政

参院選が終わり、数の上では僅差とはいえ衆議院と参議院で与野党が逆転するねじれ国会となったため、各種法案の成立は難航しそうである。その中でも、特に成立が難航しそうな法案が「夫婦別姓法案」である。「コンクリートから人へ」の一環と考えられなくもないこの法案がなぜ難しいのかについて、紹介したい。

難航しそうな理由として、現在の法律の大半は官僚が法案を提出し、国会が承認議決するという形で成立しているが、夫婦別姓については、現行法で間に合っている状況が非常に多いことに加えて、ほとんど何も利権を生まないからである。

利権というと悪の巣窟のようにイメージされがちだが、そもそも利権のないところには、カネも人も集まらず、適切な行政・事業ができない。

生じた利権をいかに適切に国民に再分配するかが重要なのである。

翻って夫婦別姓であるが、単に女性が結婚するに当たって名字を変えたくない、あるいは夫の名字を名乗るのがイヤだというのであれば、現行法でいくらでも解決法がある。

○結婚の条件として、新戸籍は妻の名字にすることに決める。
○会社などでは旧姓を使用する。
○事実婚で共同生活をする。
○婿養子をとる。
○子どもが欲しいだけなら、シングルマザーの道を選ぶ。
などである。

ただし、これまでの「結婚したら妻は夫の戸籍に入る」という慣習に反旗を翻すわけであるから、女性が仕事を持ち、経済的に自立するとともに、出産休暇・育児休暇後の仕事復帰を支援する行政指導を強化する必要はある。

そして、夫婦別姓に関してハコモノ行政ができる余地がほとんどないのである。男女共同参画社会基本法は、結局のところ「男女共同参画センター」というハコモノをたくさん造った以外にさしたる成果を出していないが、今度は「夫婦別姓推進センター」を建築するといって予算要求をしても、ゼロ査定になる公算が大きいだろう。

コンクリートから人へという政策は、国民に与える信頼感という点では奏功したが、雇用を創出し、豊かな社会を築いていくためには、やむを得ない範囲におけるハコモノ行政・コンクリート行政は必要なのである。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)