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【親方日の丸な人々】ビジネスとしての公務員叩き

図書館へ行って、「行政」に分類されている棚を見ると、公務員叩き・役所批判の本で溢れかえっている。行政学の専門書よりもはるかに数が多い公務員叩きの本は、公務員叩きがもはやビジネスになっていることを表している。

それらのタイトルを見ていると、「道州制で日本は変わる」「道州制で地方は疲弊する」「虚構の道州制」「道州制のこれだけの問題」など、道州制に限っても数十種類の書籍があって、それぞれの筆者がさまざまなことを書いている。

しかし、いわゆる評論家やジャーナリストが表面的な取材と「あるべき論」だけで書いた文章は、たとえ説得力はあっても実行は困難なものばかりである。中には天下り役人の年収データだけを並べてコメントを付けただけの粗雑なものもある。

お役所批判は、いわば庶民のガス抜きのためにやっているようなところがあり、天下りはケシカランと誰かが言えば、「そうだケシカラン!」と非難ごうごうになる。

しかし、なぜ公益法人が多く存在するのか、政策を実施するのにいきなり民間に任せて本当にうまくいくのか、民間企業のリストラ要員受け皿子会社の存在や、組織保持の行動は正しいのか、それならば何故天下りがいけないのかといった問題を深く追求した論説は見かけない。

それよりも、お役所末端の中堅職員のほうが、よく現実を把握していて、できること/できないこと、改めるべきこと/現状維持すべきことの峻別ができている。

秘密保持義務の関係で不可能だろうが、お役所でtwitterを全面解禁して、役人ツイートをクロール分析したら、はるかに生産的な提案ができるだろう。

そして、役所を動かしているネットワークトポロジー(緩い派閥)の存在を「見える化」して、どこを推せばどういう反応が返るかを分析していったほうが、表面的な事業仕分けよりも効果は大きいに違いない。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)