今年1月、人気音楽プロデューサー・小林武史が監督、岩井俊二がプロデュースと脚本を手がけ、「KAT-TUN」の赤西仁が映画初主演を果たした「BANDAGE バンデイジ」が公開され話題になった。劇中のLANDSのボーカル・高杉ナツ(赤西)が歌った6曲に加え、小林武史がこのアルバムのために書き下ろした新曲2曲を含む8曲を収録したオリジナルアルバムも発売された。劇中の役名のまま大ヒットした主題歌といえば2003年に柴咲コウが映画『黄泉がえり』の中でカリスマ・ボーカリストRUIとしてオリジナル・テーマソング 『月のしずく』がオリコン週間シングルチャート1位、年間チャートでも3位を記録、100万枚を超える大ヒットが思い出される。だがこれは映画に限ったことではない。
ドラマ「愛をください」(2000年・フジテレビ)でも、主演の菅野美穂が同ドラマ内のストリートライブで歌った「ZOO~愛をください~」を、役名の「蓮井朱夏」名義で実際にリリースしている。この曲は50万枚を超えるヒットになった。また、ドラマの役名でリリースしたものとしては、亀梨和也・山下智久が「野ブタ。をプロデュース」の役名「修二と彰」としてリリースした「青春アミーゴ」ならきっとご存知だろう。こらちは発売から4日間で出荷枚数が100万枚を突破し、超大ヒットのミリオンセラーとなった。ドラマを観ていない人でも、この曲は聞いたことがあるのではないだろうか。
これらヒット曲や名曲が生まれた背景には、映画やドラマとの相乗効果ということもあるかもしれない。だがそれ以外にも俳優が、演技という枠を超えた「表現者」であり、歌もこなせる力量や魅力があるからではないだろうか。福山雅治や織田裕二は、実際に歌に演技に活躍している。大ヒットドラマや映画の主演もこなし、大ヒット曲も世に送り出している。すごいパワーである。
そして今、期待されている俳優兼ミュージシャンがいる。K-POPのFTIslandのメインボーカルを務める、イ・ホンギだ。FTIslandは韓国では超売れっ子バンドで日本でもインディーズデビューし、1st シングルがオリコン初登場9位、ライブDVDが6位になるなど、日本でも認知度が高い。5月19日には日本でもメジャーデビューが決定している。彼は歌がすごく上手い。彼の歌がFTIslandの大きな魅力だといっても過言ではないだろう。
彼は、4月21日からTSUTAYAで独占レンタルが開始される「美男<イケメン>ですね」で観ることができる。ドラマの中でイ・ホンギが所属している人気バンド「A.N.JELL」は、ドラマでもステージや練習風景などを披露している。イ・ホンギはボーカルではなくドラムを叩いているのだが、すでに3月17日に発売されている「美男<イケメン>ですね-日本版-オリジナルアルバム」では、イ・ホンギが歌うドラマオープニング曲(日本語ver)が収録されている。こちらは、4月12日にはamazonの海外TVサウンドトラック部門で、NHK BS2で放送中の「イ・サン」を抑えて韓流の中で1位となるほどの人気ぶりだ。
彼が演じる「ジェルミ」は、人気バンドのミュージシャンということでは、実際のイ・ホンギと同じ。太陽のように明るくムードメーカーというドラマの中での性格も、イ・ホンギ本人と似ているらしい。そんな役どころの彼の演技が評価されたのは、14話のあるシーン。それまでは本人と似ている設定のためか演技というよりは自然な感じで、逆に演技ということを意識しなかったのだが、そのシーンでは思わずうなってしまった。これでは彼の演技力を認めないわけにはいかない。実際にドラマを観た人からは名シーンとして絶賛されている。このドラマで演技力を評価された彼は、「SBS演技大賞 ニュースター賞」を受賞したのだ。
1990年3月2日生まれのイ・ホンギは、まだ20歳になったばかり。どこかやんちゃっぽく、少年っぽさが残る”カッコかわいさ”がある。日本滞在時に、沢尻エリカ主演のドラマ「1リットルの涙」で日本語を勉強したという彼。今クールのドラマで東方神起のジェジュンが「素直になれなくて」(フジテレビ)に出演するように、日本のドラマにイ・ホンギが登場するのも、そう遠いことではないかもしれない。まだ20歳の彼、期待度は未知数である。
(TechinsightJapan編集部 関原りあん)