本連載をはじめとして、多数の公務員批判記事があるにもかかわらず、就職先としてのお役所の人気は非常に高い。
昔は「仕事が単調でつまらない」「大学に行けなかった人が糊口をしのぐために行くところ」というイメージがつきまとっていたが、近年は「勝ち組」の代表とされているのが、公務員という職業である。そこで今回は、公務員志望の人に、予備校や学校では教えないさまざまなテクニックを紹介したいと思う。
まず公務員は専門の勉強をして試験に合格しなければ採用されない。近年はこの常識すら知らずに、ハローワークの窓口で「公務員の採用はありませんか」と尋ねる人が増えているが、最低限ネットで試験の種類や対策などは研究しておくべきだろう。
続いて準備を始める時期だが、実は早ければ早いほうがよい。高校生、大学生問わず入学してすぐ始めた方がよいのである。これには理由がある。
教養試験の科目攻略は高校受験、大学受験で培った知識のかなりの部分が通用するのである。
2年生や3年生になって忘れてしまわないうちに、準備として問題集に取り組むほうがよいのだ。
また、適性試験(数式判断、論理判断など)対策は、勉強と言うよりは練習である。学力はあまり関係ないので、クイズ感覚で取り組むとなかなか楽しめる。
問題集は数多くこなした者が勝利する。最近は中古書店へ行けば、2,3年前の問題集が100円程度で売られているから、買ってきて解ける問題から解いていくとよい。
続いて、よく必要論・不要論の両方が言われる官庁訪問(OB訪問)であるが、近年はどこの省庁も公には受け付けていない。
しかし勤務時間外にOBに逢って話を聞くことまで禁止はされていないので、うまくいけば裏情報(○○高校や大学からの採用枠が○人確保されているとか)を仕入れることができるだろう。
「○○という有望な学生がいる」という噂が人事担当者に伝われば、若干は有利である。
平行してPCの練習をしておいたほうが良いだろう。最近は本来ワープロソフトやプレゼンソフトで作るべき書類まで、表計算ソフト(エクセルなど)を使って作ることが多いので、エクセルスキルは絶対に必要だ。
買う金がなければ無料のOpenOffice.orgがある。現在のお役所は先輩がエクセルの手ほどきをしてくれるほど甘くはない。MOSなどの資格があればなお良いだろう。
女子大生ならば、役所でアルバイトをしておくのも有効である。産休育休中の女子職員の代替要員や、繁忙期の短期アルバイトがあるので、働いてみるのもよいだろう。
一度顔が知られて、「よくやってくれる子」という評判が立てば、採用に有利であり、採用後も過去の勤務実績として通算されることがある。
続きは次回紹介するが、非常に大切なこととして銘記しておくべきなのは、憲法に定める「【全体の奉仕者】として活躍しよう」とか「市民を助ける立派な人になろう」などとは考えないことである。
そういう純粋でまっすぐな人間というのは、組織に入ると、理想と現実のあまりのギャップに悩み、精神を病むことが多い。
一番望ましいのは、「ひとつ金を儲けてやろうじゃないか」という経済指向である。この連載の過去記事を読んでいただくとわかるが、公務員稼業は非常に儲かる。特に地方都市での民間企業との年収格差は絶大である。
金を儲けようというのはなんら疚しい動機ではなく、食べる=エサを採るという生き物としての本質にかかわる至極まっとうな動機である。
「楽して稼ぐためなら、死ぬほど働いてもよい」というジョークがあるが、これは公務員志望者にとっては、ジョークではなくリアルな現実なのである。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)