writer : techinsight

【親方日の丸な人々】自粛して一件落着 でも自粛するものがない

お役所だけはなく、世の中一般がこの20年間の間に虚礼や慣例を自粛する動きになっている。
しかし、お役所の場合は、何か事件や不祥事があるたびに、さまざまな行事を自粛して、世間様に申し開きをするのが慣例になっているので、もはや「自粛を自粛する」のが必要になっているのが現状だ。

これまで世間一般の慣例に照らして、許容されてきた各種行事が軒並み自粛されている。
代表的なものを挙げよう。

・役所の仕事請負業者の盆暮れの付け届け・・・・癒着の原因とされて受け取り自粛
・自治体から国への接待・・・・・・官官接待が税金の無駄使いとされて自粛
・予算要求時のお祭り騒ぎ・・・・・徹夜が続く予算要求時の炊き出しや差し入れは自粛
・職員の転勤時の餞別・・・・・・・業者からの餞別はもとより職員相互の餞別も自粛
・職員相互の引越の手伝い・・・・・業務の妨げなので自粛
・仕事始め・仕事納めの飲み会・・・理由はわからないが虚礼ということで自粛
・年賀状交換・・・・・・・・・・・理由はわからないが虚礼と言うことで自粛

ここまでは、まずまず理解できる自粛である。しかし、お役所というのは一度自粛の前例を作ると、あらゆることに自粛を適用し出すのである。次のようなものは果たして自粛が必要なのかどうかわからなくなってくる。

・行政功労市民への記念品授与・・・・役に立たないものを送るのは税金の無駄遣いなので表彰状のみとする
・職員の葬式への出席および香典・・職員の家族葬儀は密葬にするようなムードがあるので自粛
・お役所見学会に来た学生への飲食物提供・・一切自粛
・市政相談に来た来客への茶の提供・・・・・一切自粛
・転勤の着任時の挨拶回り・・・・・・・・・極力自粛

このまま自粛が進むと、もはや自粛の対象は業務そのものにも向けられ、職員の定数そのものが削減されているから、業務体制自体に「自粛」ムードが働き、もはや「何か自粛できるものを探せ」と号令をかけねばならないほどである。

業務上不必要な行事を自粛するのは、世の流れではあるが、市民サービスに属することまで自粛してしまうのは問題である。たとえ他のことは自粛しても、行政功労者や外国からの見学者に対するサービスくらいは実施して、歓迎と感謝の意を示すべきであろう。

また、何か不祥事があるたびに、つまらないことを自粛して反省したフリをするのも役所の悪弊である。この場合、役所が何かを自粛したからと言って市民は納得せず、どのような再発防止策を講じたのか厳しくチェックしていくべきである。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)