お役所に限った話ではないが、組織の世代交代は着実に進み、2007年前後には団塊世代の退職が進み、現在はいわゆる「新人類第一世代」が枢要ポストに就き始めた。
かつて旧人類から「理解不能」と言われた世代が実権を握ることで、現役とOBとの間には断絶感が深まる一方で、新人類世代は現在の「天下り撲滅」の流れが加速化する前に逃げ切れるかどうか戦々恐々としている状況のようだ。
天下り天国となっている諸悪の根源と言われているのが、公益法人の存在である。現在仕分けの対象となることが予定されているが、おそらく若干の統廃合を行うだけで、大半はそのまま温存されるであろう。
公益法人はお役所の立てた政策とセットになって存在するため、政策そのものを見直さない限り、公益法人は減らない。かつ「公益」とは名目上のことであって、実質は「省益」法人なのである。省益は業界益と密接に繋がっており、その業界内で金を稼いでいる企業が数多存在する。
「隠れ天下りも仕分けの対象」と言われているが、天下りは公益法人を頂点として、業界内ヒエラルヒーに従って段階的に下っていくものである。
最終的には業界内での有力企業の社長に収まるのが天下り勝ち組であり、以下、お役所現役時代のステイタスに応じて、様々なポストが用意されている。
以前にも紹介したように、天下りはどれだけメスを入れようが、日本刀を入れようが、無くならない。
公益法人の存在根拠となっている各省政策を廃止できない上に、職安を通して、「幹部職員募集 官庁勤務経験者優遇」という求人に応募する形態をとれば、採用は法人や企業の意志ということになる。
これを禁止しようとすれば、憲法問題(職業選択の自由)までからんでくる。
しかし、巧妙に天下りが行われるにしても、特にノンキャリアOBの未来は暗い。昔は「OB風を吹かす」という言葉に象徴されるように、管理職クラスになった自分の後輩のところに、先輩風を吹かせて役所内を威張って歩くのが当たり前だったものだが、現役の新人類世代のところに挨拶に行こうにも、接遇は冷たい。
おおむね業界の末端の中小企業に天下っているOB達は、お役所訪問(後輩訪問)しても仕事を取ってこれないので、社内での扱いも邪険にされがちだ。
さらに、新人類世代の下の現役世代はもはや天下りの望みはほとんどなくなるため、勝ち逃げOB達への視線はさらに厳しい。
しかし、これで良いのである。お役所OBはすでにお役人ではないのだ。何一つ技能のない「元役所人間」は、肩身の狭い思いをしてでも、食べていけるだけまだマシというものであろう。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)