お役所には、会計検査または指導監査と呼ばれる業務がある。
要するに決められたとおりに仕事をして、正しく予算を使っているかをチェックする仕事だが、会計検査院、省内監査部門などで同じようなことを重複してやっている壮大なムダを誰も指摘しないので、今回はその実情を紹介する。
民間企業で監査と言えば、財務監査、法令遵守監査、さらに経営上の必要から行う効率性や有効性の監査など、様々なものがあり、それらは外部監査法人に委託するのが基本である。
内部監査も一応あるが、あくまでも抜き打ちのガチンコ監査で、かなり怖いモノである。
一方で、お役所の監査は、早い話が監査担当職員の全国物見遊山ツアーなのである。官官接待が問題視されるようになる以前は、監査といえば酒池肉林の全国美味いモノ食べ歩きツアーであった。
監査される方は、なるべく書類をチェックする時間を少なくするように、あちこち観光地を連れ回し(一応「現地視察」ということになっている)、夜は山海の珍味攻めであった。
現在では、「食いたければ自腹でどうぞ」ということになっているので、監査職員のウマミは少なくなったが、お役所内部で膨大な監査職員を抱えているのは、膨大な人件費と出張旅費のムダである。
もちろん、銀行業務の監査を金融庁が行うとかいうのは、必要な業務であるが、お役所の業務をお役所が監査して、重箱の隅を針でつついたような細かい経費のムダを指摘しているのは、それ自体がムダである。
そして、より良質な行政サービスを提供するための「効率性の監査」「有効性の監査」などを行う機関は存在しない。
どうしたらお役所がもっと良いサービスを提供できるようになり、「業界の奉仕者」ではなく「国民の奉仕者」として正常に機能できるかを考えていくべきであろう。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)