新年が明けて、官公庁の多くは本日が仕事始めである。今から25年以上前には仕事始めには仕事をせずに挨拶回りと昼酒新年会で過ごしていた役所がけっこうあったが、今はさすがにそんな役所はないであろう。
さて、前回に引き続き、公務員の人件費を半分にする方法を考えてみたい。
民間企業では、すでにスローガンになっているくらい当たり前の「カイゼン」という言葉は、お役所には存在しない。お役人にカイゼンをさせると、仕事が増えて、人員要求に結びつくから出来ないのだ。
お役所には同じ役人同士で仕事を作り合う習慣がある。これには古くから悪名高い「紙爆弾」と「内部お手盛り監査」がある。
紙爆弾というのは、ある法案を立案する際に、関係各省に協議をするのだが、協議された方は自分たちに都合の悪い条項を改めさせるために、嫌がらせとして弁当箱の隅を針でつついたような細かい質問を連ねた質問状を投げつけるのだ。投げつけられた方は逐一それに回答を付けて返さねばならない。
もともと本当に質問があって書いているのではなく、自分たちの言い分を通すための嫌がらせのために質問を作るのであるから、作る方も回答する方もムダの極地である。
昔はこれが法案作成の儀式のようなものであった。現在もやっているのかどうか逐一確認したわけではないものの、何らかのやりとりはメールで行っているであろう。
続いて、内部お手盛り監査である。監査事務を行う膨大な職員が存在する。もちろん、指導対象の民間企業に対する業務監査要員なら当然必要であるが、自分たちの業務の監査まで同じ監査部署が行っているのは、民間企業ではあり得ない。
監査事務の頂点に位置するのが、会計検査院であるが、その会計検査対策を行うための予備監査・指導監査部門が各省庁に存在する。積極的な事務指導を行うなら良いのだが、何のことはない、会計検査院と同じことを内部でやっているのである。
その下部機関も独自に監査部隊を編成して、現場指導監査に行っているのだから大変だ。1年中監査をしているようなもので、そのために用意する資料作成の時間だけでも大変なムダだし、監査職員の出張旅費も膨大だ。
民間企業で監査と言えば、外部監査が基本である。内部監査もないわけではないが、役所ほど大がかりではない。
かくして、立法も行政も監査も、大半はお役所がやっているので、公務員の人件費は膨大になるのである。
立法は国会議員が、監査は外部監査法人が行うようになれば、膨大な人件費が削減できるはずである。
次回は、ムダの極地である内部お手盛り監査の実態を紹介することとしたい。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)