writer : techinsight

【親方日の丸な人々】天下りは永遠に不滅です

自民党政権時代に設立された「官民人材交流センター」と、「再就職等監視委員会」を廃止し、「公務員人事適正化センター」(仮称)を来年4月、内閣府に設置するそうである(毎日jpの報道より)

しかし、看板を変えようと、設置箇所を変えようと、規制を強化しようと天下りは絶対に無くならない。
「公務員人事適正化センター」という仮称のイメージで判断する限り、天下りはますます巧妙に行われることは間違いない。

心理学者の岸田秀氏は、「公務員は関連企業には一生再就職できないようにすればよい」と書いているが、これは憲法で保障する「職業選択の自由」に抵触することになり、現実的ではない。

極論すれば、天下りを根絶するには憲法を改正する以外にないのである。

憲法第15条第2項で「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と明記されているが、これは明治憲法下における公務員が「天皇のための官僚」であったことへの反省から規定されたものであり、なおかつここでいう公務員は行政職の公務員も国会議員や司法公務員なども全て包含している。

現在問題になっている天下り公務員は、官庁勤務の行政職員なのであるから、改正範囲を最小限度に止めるには、憲法第15条の2を新設し、「行政機関に勤務する公務員およびかつて勤務していた公務員の職業については、内閣総理大臣がこれを指定し若しくは制限することができる」などとしておき、あとは関連立法により、各省庁のステークホルダ(利害関係者)への就職を禁止すればよい。

法律の専門家が見ればこんな案は荒唐無稽だと言うかもしれない。そのとおり。荒唐無稽である。

そもそも、民間企業においても、本社勇退幹部の天下り用子会社や使えない人材の受け皿用の捨て駒会社を作って組織的に行っている「再就職」を、公務員にだけは全面禁止にするというのは無理なのである。

今回の「公務員人事適正化センター」によって、天下り斡旋はますますシークレット・ミッションとして各官庁人事担当者の主要業務となり、現役公務員出世コースの王道であり続けるだろう。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)