writer : techinsight

【映画行こうよ!】20代男性会社員のリアル?『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』。

(C) 2009 ブラック会社限界対策委員会

インターネット掲示板から生まれた”感動の実話”を映画化した『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』(監督:佐藤祐市、主演:小池徹平)。モラル低下が著しい現代ニッポン企業の“ブラック”な部分を、元ひきこもりニートのプログラマーの目を通して白日の下にさらした、「辛口いまどきお仕事事情」。本来、器用で立ち回りも上手そうな小池徹平が、“社会に飛びはぐった”不運な若者を演じている。

26歳の大根田真男(小池徹平)は、元ニートのプログラマー。いじめがきっかけで高校中退後8年間ひきこもっていたが、母の死をきっかけに資格を取り、「黒井システム」に入社。入社初日から、無責任で横暴なリーダー(品川祐)や調子のいい井出(池田鉄洋)の応酬を受け、とてつもない仕事量にもビビらされる。しかし頼りになる藤田(田辺誠一)や、派遣社員の中西(マイコ)の存在により、かろうじで仕事への気力を維持していた。そんなある日、木村(田中圭)という若い新人が入社してきて・・・・。

今どき、四年制大学を卒業しても就職が無いのに「元ひきこもりのニートを雇う会社」なんて問題の多い会社であることは、最初からわかりきっている。この映画で描かれるブラック企業の“ブラックな部分”は、パワハラだったり、タクシー代の未払いだったりと、社会の水に慣れた人が見たら当たり前の事例が多い。この映画のきっかけとなったサイト・2ちゃんねるを支持している多くの若者が、元のマ男のように就職難時代に生きている若者たちなので、彼らからすると「会社」というもの自体が「未知のワンダーランド」であるのだろう。

品川祐と池田鉄洋の“ダメ上司コンビ”のガチャガチャした掛け合いは、うるさくって不快だけど「こういう人たち」って確実にいる。あるきっかけでブラック企業で働くエリートの藤田や藤田に恋して暴走する派遣マドンナの中西、怖~いお局様の瀬古(千葉雅子)、キョーレツな○○を放つ挙動不審な社員・上原(中村靖日)など、真男(通称マ男)を取り巻く芸達者な脇のキャストは上手く引き立っている。

熾烈な職場環境を時折ゲーム感覚で「戦場」に例えてみたり、入社2週間程度の状況であれこれネット上の傍観者が意見を言い合うのも、いかにも現代的な感覚。これが20代男性会社員のリアルなのかと思うと少々がっかりするが、「ホームレス中学生」同様、童顔な小池徹平の持つウェットな持ち味が良く、不快さは感じない。何もかも世知辛い世の中ではネットの中の応援団でも心強いのかもしれない。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)