数百万人とも言われるイラク難民が、いまだに住まいを確保できず国内外をさまよっていることに、かねてから心を痛めている、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の親善大使のアンジェリーナ・ジョリー。彼女はパートナーであるブラッド・ピットとともに、イラク難民の2つの家族と面会するため、シリアを訪れた。
2日、イラクから逃れて現在はシリアの首都ダマスカス南部にある、ジャラマナ地区に暮らす2家族と面会したアンジーとブラピ。
幼い子供たちに優しい笑顔で話し掛けるブラピの横で、命からがらイラクから逃げ出した彼らのメンタル・ヘルスや生活の質が、2007年の最初の面会時の後に改善されているか、アンジーは両親に懸命にインタビューを続けた。
「殆どのイラク難民は、帰りたくてもイラクに帰れません。悲惨な体験がトラウマになってしまっています。祖国での次の選挙も不透明で不安、生活面での安全やサービスなどがまるで保障されていない状況ですから、国外のコミュニティによる継続的な救いの手が、今何としても求められています。」
また、シリアのバッシャール・アル・アサド首相夫妻とも対談したアンジーは、このように感想をUNHCRに報告している。
「シリアの人々がイラク難民に対し、寛容さと温かい気持ちで接していることがとてもよく分かりました。この様子を世界中の皆さんに知って頂き、イラク難民が抱えている問題、心の苦しみを皆で分かち合い、彼らを助けてあげて欲しいと感じます。」
UNHCRは、2003年のイラク戦争以降、自宅を失ったイラク難民が420万人いると見ており、現在までにこのうち21万5千人が、UNHCRが用意したシリアの居住地区に落ちついたものの、食糧や生活物資の援助が必要な状況であるとしている。
なおアンジーは、2007年8月、2008年2月に続き、今年7月にも3度目のイラク訪問を果たしており、バグダッドの仮設住居に落ち着くことが出来た家庭を訪問して歩いた他、難民キャンプに暮らす人々の生活の様子を報告している。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)