国家公務員と地方公務員の待遇差のことを取り上げるべきだというリクエストがあったようなので、今回は平均的な意味で国家公務員より恵まれている地方公務員の待遇を取り上げる。
キャリアを目指して国政に携わり、退職後は関連法人に天下りして退職金のかすめ取りという豪奢な人生を選ぶならば国家公務員を目指すべきであるが、ノンキャリアで適当に仕事をして高い給料をもらいたいと思うなら、これからは地方公務員のほうが圧倒的に有利である。
地方公務員といっても、東京都庁のような完全独立自治体もあれば、限界集落を抱えて青息吐息の市町村もあるが、狙うなら政令指定都市職員である。
一般の市町村は上級官庁である都道府県の意向に逆らえないが、政令指定都市は別格である。給料・福利厚生も国家公務II種や道府県庁上級より恵まれている。
しかも、原則として転勤がない。区役所ごとの異動はあるが、通勤経路が変わるだけのことであり、生活に影響はない。したがって将来設計が立てやすいので職場内結婚で夫婦公務員になれば、30代半ばで戸建てが手に入る。
夫婦で定年を迎えたときの退職金合計は5000万円程度になる上に、天下り先も一応確保されている。
少し前までは、都道府県職員が最高とされていたのだが、昨今話が持ち上がっている道州制が実現すれば、国からの人員を受け入れるために、業務と人員を市町村に押しつけていかねばならない。そうなるとこれまで県庁所在地で安定した給料をもらっていたのが、限界集落自治体へ異動になって、給料は2割減などという憂き目を見ることになる。
こういった状況のため、東大以外の4年生大学を出た優秀な人材は、キャリア(国家公務員1種)を目指さずに、政令指定都市職員に流れる傾向にある。
これにより、キャリア以外の国家公務員の優秀な人材不足が深刻化している。しかも民主党政権では公務員人件費の2割減が提唱されており、公務員全体の将来像は暗い中、東京都庁職員と政令指定都市職員の身分だけは安定推移するであろう。
全国転勤と薄給に耐えて、キャリアの犬に甘んじている国家公務員ノンキャリアの中には、人生誤ったと後悔している人も多いようである。くれぐれも「国政に携わっている」という誇りだけを胸に、努力して欲しいものである。
なお、政令指定都市職員を志す学生諸君は、学生時代からお役所アルバイトや市政ボランティア活動に積極参加し、可能ならば有力市議会議員とのコネクションを持っておくことが推奨される。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)