writer : techinsight

【映画行こうよ!】“らしさ”に欠ける。”見ていて疲れる”お上品な藤原竜也。『カイジ 人生逆転ゲーム』

「賭博黙示録カイジ」から始まった福本伸行による人気漫画作品の映画化『カイジ 人生逆転ゲーム』(主演・藤原竜也)。出口の見えない不景気な昨今、わざわざ日本の“最下層”を意識する事が流行のようになっている。そんな負け組青年をギャンブルでどうにかしようとする主人公・カイジを、顔かたちが美しい藤原竜也が演じている。生きるために必死なビンボー人をシェークスピアの舞台でならした藤原が果たしてどう演じるというのだろうか。

友人の借金の保証人になっていた伊藤開司(藤原竜也)・カイジは、ヤミ金の女社長・遠藤凛子(天海祐希)により、勝てば一発逆転を狙えるカジノ船に乗せられる。そこに集められた金にあえぐ男たち(通称人間のクズ)は、金持ちの余興の為に命がけのゲームに参加させられることになる。最下層としてはき捨てられる一群の中から、みずからの持つ気転と運でどうにか生き残ろうと必死で戦うカイジだったが・・・・。

福本伸行による原作漫画のイメージが強すぎて、どうしても“お品のいい”顔をした藤原竜也がカイジに見えない。日常に「生」を見出せず、ギャンブルで生き抜く下流の若者・カイジ。見た目はいいとして、藤原の舞台みたいに熱のこもったセリフが聞いていて疲れる。お楽しみゲスト、胸を病んだ青年として出てくる、髪質が硬くてダイコン顔の松山ケンイチ。松山の方がよっぽど漫画のカイジに似ている。

現在公開中『カムイ外伝』の松山のカムイと藤原のカイジ、役を交換したほうがイメージぴったりかもしれない。

その他、松尾スズキの班長、キレ者の対戦相手を演じた香川照之、年増のフジコちゃんみたいな天海祐希の女社長、久しぶりに見た佐藤慶のカジノオーナー兵藤。脇を固めるベテランはガッチリ決まっている。

スリリングな頭脳ゲーム的な展開を期待していたが、最後の最後のカード・ゲームまでがほとんど体力勝負。ギャンブル映画“らしさ”も欠けている。途中カイジの置かれる強制労働の場が『蟹工船』みたいだが、そこからギャンブルで這い上がろうとするあたりが、まさに下流的。「考えろ、裏をかけ。そして未来を手に入れろ。」最初から映画のキャッチコピーの通りに生きていたら、カイジはこんな事になってないはずだ。映画とは違い、ギャンブルで普通の生活を取戻すのは絶対に不可能だと思う。

『カイジ 人生逆転ゲーム』は絶賛公開中。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)