writer : techinsight

【ドラマの女王】現実の方がはるかに面白い。お役所PRに終始したダメドラマ。『官僚たちの夏』

今回の【ドラマの女王】は、『官僚たちの夏』(TBS系)の最終回。途中セカリク(世界陸上)とか選挙戦とかやっていて、いまいち後半に力が入らなかった『官僚たちの夏』も、とうとう最終回。気がつけば昭和40年代半ば、やっと記者が生まれたぐらいの時代になっていた。どんなに窮地に立たされようと、食いっぱぐれがない“官僚たち”に縁もゆかりも無い記者は、彼らの苦労を見せられても、「だから何?」としか言いようが無い。

一時は「国による汚い操作」も暴いている様に見えたこのドラマ。終わってみれば結局、カッコイイ軍人を描いて戦争を肯定するような、高潔な官僚たちのぶち当る“イロイロな困難”を描いて、官僚をPRするドラマになってしまった。

必要以上に「憂いのある目」で演技する庭野役の堺雅人や、このドラマ以外にも露出度の高い玉木役の船越英一郎にウンザリ。主人公の官僚・風越信吾(佐藤浩市)は、政敵や国のやり方に嫌気が差して通産省を去る事に。去り際に「俺は天下りはしない!」って、言ったなーっ!(実在のこの人は、その後どこにも就職せず、経済評論家になったらしいけど本当?)

最終回にて相変わらず、日本の繊維産業のあーたらこーたらをやってる通産省。いつのまにか片山(高橋克典)がいいヤツになっている。ドラマとは裏腹に克っちゃんは“オシオ”のせいで主演映画がぶっ飛び、内心“炎”のような怒りを抱えている。がんばれ克っちゃん。

そしてドラマ・クライマックスは、「結局国に振り回されただけだった!」と気がついた繊維業界の人たちが怒り狂い、彼らが起こした暴動が機動隊ともみ合いに。巻き込まれた風越と庭野も(ホワイト・カラーながら)ケガして顔が血だらけになってしまう・・・・・。
風越が「日本はいったい何処へ行ってしまうのだろう。」とつぶやき、コブクロの歌が流れタイトルコールへ。
その翌年、「札幌オリンピック」と「沖縄返還」が来ましたとサ。

ひどい終わりだ。

結局、官僚たちが“どうしたかったのか”が分からない上に、不況から抜け出すヒントも無かったダメ・ドラマ。やはり「プロジェクトX」とか「カンブリア宮殿」が大好きなオヤジたちのためにやっているようで、何とも後味が悪い。どちらかと言うと、しっかり描いてほしいのは「高度成長期」ではなく、この後のバブル期に至るプロセスとか、バブルが崩壊した時“官僚たち”は何をやっていたかではないか。ノスタルジックをウリにするわりには、木造じゃない路面電車とか、庭野の髪型とか、所どころ昭和30年代っぽくない部分も気になった。

しかしながら、ドラマ途中に「天下り廃止」を訴える民主党圧勝してしまい、実際のニュースがこのドラマより面白くなってしまったのは、運が悪かったとしか言いようがないのだが。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)