今回の【ドラマの女王】は、“バリバリの右翼系ドラマ”『官僚たちの夏』(TBS系)。ドラマをよく見てみると、「官僚たちによる汚い国の操作」も暴いている訳で、左翼要素もわりと強いこのお役所ドラマ。車、道路、冷蔵庫、テレビと来てなぜか「電子計算機(パソコン)の無限の可能性!」にまで飛躍してしまう。そこには“目しか”笑っていない俳優・堺雅人と、“ホンモノ”の草食系男子・岡本信人との熱い戦いと友情の物語があった。
野草を調理して食べるのが趣味で、草の食べ方などをまとめた著書も出版している岡本信人。同じTBS系では『渡る世間は鬼ばかり』田島周平役でおなじみだが、テレビ朝日系の『ナニコレ珍百景』では、そこらに生えている草を天ぷらにして食べたりする姿が若者から人気がある。そんなホンモノの「草食系男子」岡本信人。『官僚たちの夏』では、テレビ開発に心血をそそいで来た電気会社の社長に扮している。
戦後アメリカからのテレビの輸入をストップし、国内の産業を守る。これが今回の「官僚たち」の使命。まあ、そのためには「こまかい中小の企業にはまとまってもらって資本を大きくしてくれよ。」的な国の指令が降りる。官僚たちは仕方なく日本全国60社だけ「テレビ参入を許可リスト」なるものを決めてしまうのであった。
こんなコメでいう、「減反政策」みたいな規制を国が張っていたなんて、今では信じられないけど、国がやっきになってアメリカからTVを守ろうとしたのは間違いない。今でも「地デジ」をさんざん鳩山・弟さんが頑張っている構図と似ている。
まあ、それはいいとして「テレビ開発からハジかれた中小企業のために何かできないか?」と頑張る官僚に堺雅人。堺さんはいつも“目しか笑っていない”というナイスな俳優さんだが、仕事にしろ、恋愛にしろ「狂気的な一生懸命」を演じたらピカ一。主人公の身近にいながら実は恨んでたり、妬んでたりする役もうまい。けど今回はそれはナシ。ただ、草食・岡本社長さんの会社をナントカするために尽力する。
風越信吾(佐藤浩市)の進めで調べた欧米の取り組みをヒントに、電算機(コンピュータ。のちのパソコン)の可能性が、岡本さんの会社に合っていると気づいた堺さんは、急いで資料をつくり岡本さんのもとへ。迷うが開発を約束する岡本さん。てことは岡本さんの会社は、のちのNEC?富士通?沖電気?(詳細不明)。
まあ、なんとか良かったね。という所で家庭にTVが普及し、東京オリンピック開催決定のニュースが流れる。これによって→「道路つくって、車走って、TV売れる。」の高度経済成長万歳!日本ウハウハ時代に突入するんだって。やっぱり、バリバリ企業・官僚よりのドラマなのである。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)