writer : techinsight

【ドラマの女王】 ありえないトリックに、ありえない渡瀬恒彦、そしてありえない裏番組。『警視庁捜査一課9係』。

今回の【ドラマの女王】はお父さんたちのお楽しみ、渡瀬恒彦、井ノ原快彦主演の『警視庁捜査一課9係』(テレビ朝日系)。人気のシリーズに今回から参加しているイノッチ、ヨメの瀬戸朝香が真裏のTBS系『となりの芝生』で頑張っているというありえない事態。朗らかでやさしく、“押され気味な”持ち味を存分に発揮している。すっかり丸くなった“ケンカ番長”渡瀬恒彦の食通刑事ぶりも健在。このキャストにて、お父さんたちはチャンネル権を獲得できるか。

一見放任主義だが、鋭い洞察力とカンを持ち、情報収集力も優れている警部・加納倫太郎(渡瀬恒彦)は、監察医の早瀬川真澄(原沙知絵)に手打ちそばをふるまったりするグルメおやじ。この辺が『相棒』の右京においての紅茶へのこだわりとか、“量産される”テレ朝一連の刑事ドラマ・キャラのこだわり。やもめの加納は「はぐれ刑事」の死別とは違い、妻とは離婚。娘の倫子(中越典子)は、9係に転属となった新人刑事・浅輪直樹(井ノ原快彦・V6)と付き合ってる。彼女の職業はパティシエール。

『歌のおにいさん』や舞台「タトゥー」ではとにかく怖かった吹越満(青柳役)が、いくらおデブの矢沢役の田口浩正と組んだところで不気味さはぬぐえない。しかもこの二人の絵ズラは汚い。小宮山志保(羽田美智子)と長村瀬健吾(津田寛治)の絵ズラはまだきれいだが、今回気配を隠している津田さん、 『吸血少女対少女フランケン』。でのマッドサイエンティスト役ではかなり壊れている。

第7話の事件は、ヨガ教室の人気インストラクターが殺されるという、「アロマ殺人事件」。ここへ来て視聴者のターゲットをおっさんから(イノッチファンを含む)女性に変えようとしているのか、警察でアロマ・オイルを炊きまくる渡瀬恒彦とイノッチ。その香りで犯人を割り出すって・・・・どういう捜査だ?アロマオイルって高いし、経費のムダづかい。ちゃんと聞き込み捜査しなよ!

その後、一瞬のゲストの登場でもう犯人が分かってしまう。犯人の疑いをかけられた女性の夫役に映画『美代子阿佐ヶ谷気分』 の水橋研二。ツタヤCMのエビの隣で、宅配レンタルが家に届いて喜んでいる彼は「コバヤシさん」じゃなくてミズハシさん・・・・・。水橋、相変わらず声がセクシー。でも更に真犯人はやっぱり妻の女性でそれを仕向けたのは被害者の仕事仲間の女性だった。バタバタと忙しい展開だ。

犯人が二転三転して、やっと解決したと思ったら、原沙知絵の早瀬川先生による温情捜査のおまけつき。水橋がまた登場してウルッとさせる。1時間にしてこのまとまり、お見事!つっこみどころ満載ではあるが、日々量産され、消化される「テレ朝」お得意の刑事ドラマ。その”底力”を感じる一作である。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)