今回の【ドラマの女王】は市原隼人主演の『猿ロック』(日本テレビ系)。8年付き合っている恋人がいると宣言し、あっと驚く“ヤンキー的な男気”を見せた市原隼人。(かぎりなく近いような気もするが)『猿ロック』では“ROOKIES”とはまた違った魅力を大放出。ピッキング職人という、いかにも何かありそうな人間臭い主人公・サルは女好きな童貞で、いつもツルんでいるのは同級生や幼馴染といった、現代的ながら「下流っぽい」設定にワクワク。ピッタリな市原隼人。でも彼、デビュー当時より路線変わったよね?
「週刊ヤングマガジン」で連載中の原作マンガ(作:芹沢直樹)では、主人公・猿丸耶太郎、通称サルは高校生であるらしく、それなら「童貞」でもぜんぜんアリなのだが、ドラマで市原演じる20歳のサルもマンガに忠実に「童貞」。ありえな~い。でも市原隼人の黒いキラキラした瞳を見ているとまんざらでもない。まあ伝説のティーチャーGTO・鬼塚も「童貞」だったからヨシとするか。でも、あの市原の髪の色、ロマンスグレー?何か変。
鍵(かぎ)屋の父が失踪中で「猿丸ロックサービス」を切り盛りしている猿丸耶太郎・通称サル(市原隼人)はピッキングの名人。幼馴染のリツコ(芦名星)と山田(高岡蒼甫)、同級生の山本(渡部豪太)と共に、「鍵開け」依頼にまつわるさまざまな事件に巻き込まれバツグンのチームワークで解決していくのだが・・・。
浮気事件、篤姫、黒いウワサ、“ROOKIES”、それを全部取ってしまうと恐ろしく影が薄くなってしまう高岡蒼甫。最初誰だかわからなかった。演技はヘタじゃないんだけど、ここではどうにもイジリようがない。
水曜日深夜の『帝王』(TBS系:塚本高史主演)、金曜日深夜の『怨みや本舗』(テレビ東京系:木下あゆ美主演)、と今クール深夜枠は夏休みで若者層の視聴が期待できるのか内容はどうであれ力が入っている。そして深夜枠のドラマは、お茶の間では知名度が低いが、売り出し中のイケメンや、舞台、映画で活躍する実力派の俳優・女優の宝庫でもある。『帝王』では映画『守護天使』の與真司郎、『怨みや本舗』では邦画出演最多記録に挑む山本浩司、そして今回『猿ロック』では、映画『ララピポ』の中村ゆりが、サルに助けを求めるシングルマザー役でゲスト出演。アイドルにはない印象的な演技で引き付ける。さらに、デートクラブの悪い男の役では話題の演劇ユニットポツドールの看板俳優、米村亮太郎が顔を出すなど、コアなエンタメファンにはうれしいキャスティングだ。
話を市原隼人に戻そう。5年くらい前、『陰陽師II』で“はっとするほど美しい少年だった”市原。井上真央との共演で爽やか少年だった映画『チェケラッチョ!!』、感動ドラマ『あいくるしい』など着実に俳優として実力をつけた彼はなぜか“ROOKIES”でヤンキー男子の代表みたいになってしまった。そして『猿ロック』ではさらに“下流化”が進み、もはやスポーツ要素ナシ。「不景気を脈々と生きる“ボンビーな若者”。」が当たり役に・・・・・。このまんま行くと、市原はヤクザ役なども難なくこなし、まんまVシネ帝王・竹内力にどんどん近づいていってしまうのではないか?そんな心配が尽きない記者なのである。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)