今年はお盆が終われば、衆院選挙が始まる。各党とも遊説に余念がないが、近年の選挙ではおなじみとなった役人批判も盛んに聞かれる。
しかし、水戸黄門の悪代官退治のような、具体例の何もない官僚征伐のこぶしをあげていても、実際には何も出来ずに終わるであろう。
先日、どこの政党かはわからないが、街宣カーのスピーカーから「あの霞ヶ関の官僚どもが日本をダメにしたんです。」という声が聞こえてきた。
しかしながら、何でもいいから悪党を作り上げて、征伐の決意を叫んでいれば、支持を表明するほど有権者は愚かではない。
官僚が日本をダメにしたのではなく、立法府である国会の運営から、法案作成、行政実務まで国の機能の大半を官僚が行っているのが問題なのである。
改善すべき点は多々あるが、折しも約10年前、大臣の代わりに国会答弁を行う官僚である「政府委員」の制度が廃止になった。この路線で行政府の介入を少しずつ削いでいくことが必要であろう。
最終的には、法案提出権を剥奪し、内閣法制局の機能及び職員を衆議員法制局へ移管するか、民間の法令権威である弁護士を中立的立場で参画させるといったことが望ましいが、これには全省庁一致団結して激しく抵抗するであろう。
そこで、とりあえず公務秘書官の廃止から初めて見てはどうだろうか。各省大臣には政務秘書のほかに、霞ヶ関の生え抜きエリート課長補佐級の大臣秘書官が付いている。この秘書官が全て省庁の代弁者として大臣の行動を監視している。この秘書官を廃止することもその一助である。
日本は三権分立の国なのである。三権全てを官僚(司法は別だが)が握っている状況を、少しずつ正常に戻す一連の作業が公務員制度改革なのである。
先日の人事院勧告で公務員の給料を大幅引き下げが勧告された。
「給料減らせ!」「人減らせ!」と叫んでいれば、国民ウケはよいだろうが、公務員制度そのものの中心にタマは当たらない。
下手な鉄砲も数打ちゃ当たる作戦も悪くはないが、実弾を的確に当てることが重要である。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)