writer : techinsight

”スラムダンク”より”リアル”より・・。『あひるの空』の“実写”が見たい。

今いちばん実写化してほしいスポ根マンガを、独断と偏見で選ぶとしたら週刊少年マガジンで連載中のバスケ漫画「あひるの空」(日向武史)である。連載5年も経つのに、アニメ化も映画化もされない『あひるの空』。登場人物の高校生が話すあのマッタリとした会話や迫力ある試合。卓球マンガの異色作、松本大洋の『ピンポン』の映画を見た人はわかると思うが、あの「ユル系なのに“超スポ根”」な感動を再び!キャスト完全オーディションの実写映画化を希望する。

山下智久主演、『ブザー・ビート〜崖っぷちのヒーロー〜』で最近盛り上がっているバスケ。もともとドラマティックな展開が期待でき、カッコイイスポーツなので、マンガやドラマになりやすい。バスケットボール漫画というと誰もが井上雄彦の『SLAM DUNK(スラムダンク)』を思い出す人が多いかもしれないが、記者は完全にスラムダンク世代から外れており(連載時は社会人になりたてで多忙だった。)、よってこのバスケ漫画のスゴさを知らない。

その後、同作者の『リアル』という車椅子バスケを扱った名作があるのだが、他誌で後発の「あひるの空」に出てくるキャラクターが『リアル』のキャラに少々似た雰囲気があり、同じバスケットボール(『リアル』は車椅子バスケ。)漫画としてパクリに近いと時々槍玉に上がる。でも、記者は「スラムダンク」も「リアル」も知らないから『あひるの空』が一番好きだ。

『あひるの空』の“背の低い”主人公、ポイントガードの少年・車谷空(くるまだに そら)は無垢で可愛らしいキャラクター。彼と彼を取り巻く少年たちは、いまどきありえない素直な心を持つ。彼らのユルっとした会話や、バスケへの情熱、恋、青春のすべてがみずみずしく描かれて、もう青春時代が遠い昔になってしまった寂しいアラフォー女の心をやさしく癒すのである。

空に思いを寄せる、優秀なマネージャーの奈緒、完全無敵な空のおばあちゃんや少年それぞれの家族、学校の友達、先生、対戦相手など、様々な登場人物も、みなさわやかで心地よい。大好きだ。

もちろん試合のシーンは緊迫感いっぱいでハラハラの連続。不良のたまり場だったバスケ部のデコボコ部員が、無理を承知でインターハイを目指す。という、ごくありふれたストーリながら、ガンで早死にした空の母親が優秀なバスケ選手で、そのDNAをしっかり受け継ぐ息子の空の(小柄ながら)時折飛び出す天才的プレーや、空たちに“追いつけない”「高校スタート」の部員の焦り、部の存続やケガなど小さなストーリーの積み重ねが絶妙。単調になりがちなスポーツマンガの側面に青春マンガの読み応えを持つ、お得なマンガでもある。

「ルーキーズ」や「ごくせん」のようなハデさは無くとも、キラリと光る普通の高校生たち。そんな地味だけど面白い『あひるの空』。ぜひ、夏休み一読してもらいたい。

『あひるの空』を実写化するなら・・・・・。

主人公空役は、8月15日公開の映画『色即ぜねれいしょん』で映画デビューする渡辺大知クンにやってもらいたいのだが、背が高すぎ(180cm越)。やっぱり、空とバスケ部員たちのキャストは、みずみずしい果物みたいな高校生を一般オーディションで選んでもらいたい。

(記者の中で決定しているキャストを一人。)
今年から連載で登場している、「空の父親役」はぜひ加瀬亮で!!
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)