タイの地元紙に、日本の“婚活”を紹介する記事が掲載された。タイで婚活はどのように紹介されたのであろうか。そしてそれに対するタイ人の反応はいかなるものであろうか。
最近、日本において各方面で耳にする“婚活”。タイの地元紙に先日、この婚活を紹介する記事が掲載された。
見出しは、「日本で流行る“結婚相手探し”。トレンド?それとも一大事?」。
まず記事は、現在日本で流行している結婚相手を探すための活動を“婚活”とする。そして、婚活は、少子化問題解決の糸口になることから、日本政府も推奨しているとする。
次に記事では、婚活が日本で流行している背景が説明される。
それによると、日本人は日々仕事が忙しいため結婚相手を探す暇もない。また、これまでの価値観が相対化され多様化してきたことや、日本の伝統的な“お見合い”が廃れてきたことなどの理由によって、婚期が遅くなってしまった男女が増えている。そのため、現在、婚活が流行していると記事では語られるのだ。
また、記事は婚活の実態にも迫る。
そこでは、婚活をサポートする会社はどういったもので、その規模や活動内容などについて具体的に説明される。そして、一風変わった婚活内容の例として、野球観戦時に婚活者専用の特別シートが用意されているケースを挙げている。
また、婚活者が増加したことによる日本社会へのひとつの影響として、日本の神道を祀る神社への参拝者が多くなったことを挙げている。
こうして、婚活の説明を一通り終え、最後に日本人の言葉を引用して記事は締めくくられる。すなわち、「婚活は、日本の社会に潜む(結婚数が減っていること、および少子化が進んでいることの)一大事を反映するトレンドファッション」であると。
では、婚活紹介記事を読んで、タイ人はどういった感想を抱くのであろうか。インターネット上のコメントによると、婚活はタイでも見受けられることで、別段珍しいことではないという印象が語られる。つまり、タイにも、結婚を支援する会社はあるし、別段珍しい話ではない。結婚相手を探すための手段が広がっていること、また婚活が一種のトレンドファッション化して、そういった場へ赴くことの敷居が低くなることは、結婚への近道につながるようでいいとは思う。だからといって、婚活=結婚のための活動が日本でそんなに騒がれていること自体の意味がいまひとつ理解できないとのことであった。
婚活の意味、つまり結婚のための活動という部分に着目すれば、別にそんなに大騒ぎすることではないということである。
しかし、婚活という言葉は造語であり、それが取り沙汰されているのにはある程度の理由がある。もちろん、メディアが取り上げすぎているだけといってしまえばそれまでだが、婚活という語には、結婚のための活動という意味以上のニュアンスが含まれるからだ。とするならば、タイ語で婚活のことを説明したとしても、婚活が表象する意味やニュアンスまでは伝えきることができないということになってしまう。そのために婚活は別段珍しいものではなく、騒ぐ理由が分からないという結論に落ち着いてしまうのだ。
ある言葉が、その表象するニュアンスをも含めて海外で把握されるようになるのはなかなか難しいものである。
(TechinsightJapan編集部 若曽根了太)