writer : techinsight

【親方日の丸な人々】お役所で出世する方法

立身出世を夢見て公務員になる人は、少なくともノンキャリアにおいては減少傾向にあるが、それでも全くいないわけではない。
7月に入り、国家I種、II種の一次試験も終わって官庁訪問の始まるシーズンであるので、今回はノンキャリアが役所で出世する方法について紹介したい。

お役所で立身出世を目指す人にとって最大の障壁が、モチベーションの維持である。

死ぬほど働いても、適当に仕事を流しても、ゴールはせいぜい、部長と次長程度の違いである。生涯年収もほどんど変わらない。
しかも、マスコミからは「税金泥棒」と罵られる。これで仕事に邁進しろと言うほうが無理なのだ。

しかし、逆に生涯年収が変わらないからこそ、同期の仲間に勝ちたいと思ったら、役職のランクで勝負するしかない。
そこで、何のためにやっているのかわからない、出世レースに出馬することになる。

お役所では、仕事ができる人は、待遇を良くするのではなく、より忙しいセクションに配置換えをすることで、評価の証とする。つまり一生懸命働いた結果、もっと忙しくなるということだ。

この多忙スパイラルは、少なからず健康を蝕む。しかし、そこで体を壊したら、出世レースから外されるだけである。

だから、出世に長けたお役人は、いかにして上司に取り入って、上司ウケの良い仕事を取ってくるかに腐心する。

お役所においては、末端の現場で働く若い係員のために尽力しても一切評価されないが、上司が気まぐれで思いついた仕事をご丁寧にこなせば、大いに評価される。これが上司ウケのよい仕事である。

末端の現場向けに丁寧な業務マニュアルを作っても、それは「ヒマつぶし」としか見なされないが、上司から下命されたくだらない書類作りに邁進していれば、ラクをして点数を稼ぐことが出来る。

こうした体質が身についているお役所では、彼らにとっての「末端」である市民のことが一番おざなりにされる。

近年は、ことあるごとにお役所に文句を言いに来る「モンスター市民」が増えているが、上ばかり見ていて下を見ていないお役人へのささやかな抵抗というべきであろう。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)