GMの展開するブランドのひとつに「ポンティアック」がある。そのポンティアックブランドのの廃止に伴い、「ポンティアック・ヴァイヴ」の生産終了が発表された。GMとトヨタは25年にわたり提携を結び、合弁企業NUMMI社(New United Motor Manufacturing Incorporated)を立ち上げ生産ラインを共有していた。しかし「ポンティアック・ヴァイヴ」の生産終了により、ここでのGMの車の生産はゼロとなった。
ポンティアックという名前は日本ではなじみがない。それもそのはず、日本では展開されていないブランドである。しかし本国アメリカでは、GMのブランドのひとつとして、庶民の足となって親しまれてきた。
そのポンティアックの「ヴァイヴ」というモデルが合弁企業NUMMI社のラインで製造されてきたが、ポンティアックブランド自体の廃止に伴い、生産打ち切りとなったのである。
NUMMI社とは、トヨタの効率的で、低コストに徹した製造方法をGMが取り入れる形でスタートした両者の合弁企業である。このNUMMIの工場では長きに渡って、シボレーやポンティアックの車が製造されてきた。
しかし、同工場でGMの車の生産はこれで終了した。GMは「NUMMIにおける今後の製造活動に関して活発な話し合いを継続していく」としていたが、両者が納得のできる結論に至らず、これによって、GMのNUMMI工場での生産の歴史に幕を下ろした。
ゼネラルモーターズ・ノース・アメリカのトロイ・クラーク社長は、NUMMI社の持ち株を「オールドGM」の保有とした。GM自体は国有化となったが、保有するNUMMIの株はGM自身の持ち物ということである。ここからも、「ニューGM」がNUMMI社を必要としていないことがうかがえる。
現時点では、トヨタとGMの25年の強力関係に幕が降りた形である。しかし両社のおかれた立場には明確な差が生まれている。トヨタは、世界的な景気の影響を受けてはいるものの、名実共に世界の自動車メーカーのトップにのし上がった。方やGMは、国有化である・・・。
GMはこの25年間、提携という形で、お手本とすべきメーカーの隣に位置して何を得たのか・・・。トヨタのモノ造りをどう捕らえたのか・・・。GMからすれば、トヨタの地道なコスト削減の方法や、効率化のノウハウなど、「東洋人がチマチマしやがって」くらいに捕らえていたのだろうか。実際、日本企業のモノ造りは他国の人から見れば異常なほど神経質かもしれない。しかしその結果、その全てにおいて今日の世界トップのクオリティを持つことは事実である。今後この事実を踏まえて「ニューGM」は政府のバックアップの下どう進むのか・・・。
25年にわたる、アリとキリギリスの物語はこれで幕を閉じた。どちらがアリで、どちらがキリギリスかは言わずともし察しがつくだろう・・・。
(TechinsightJapan編集部 ”自動車魂世界一”car journalist 木下)