先月発売された3代目となる新型プリウスの受注台数が、約1ヶ月で脅威の数字をたたき出した。既に、納車は来年・・・。このペースはいったいいつまで続くのか?そしてこれを皮切りに「自動車氷河期」は終わりへと向かうのか・・・?
新型プリウスは5月18日に発売されて、大きな注目を集めた。燃費性能はもちろんのこと、価格も当初の予測を大きく下回り発表された。発表からから約1ヶ月たった時点で約180,000台という好調すぎる売れ行きである。トヨタが当初掲げた、月販目標台数が10,000台であることからもそのすごさが実感できる。
現時点で契約をしても既に納車は来年だ。
この自動車氷河期に、いくらハイブリッドといえども売れすぎではないか?目標の1800%である。そもそも、その目標を低く掲げすぎなのではないかという疑問が生まれてくるが、いずれにせよ売れすぎである。
この結果だけを見ると、景気のベクトルは上に向き始めたのかと思ってしまう。
しかし、忘れてはならないのは、現在は、通称「エコカー減税」でハイブリッドカーに関しては、購入する際に取得税と重量税が完全に免除される。また、その下取りに当たる車が初年度登録から13年が経過している場合25万円補助が出る。トータルで考えると、最大で40万円以上お買い得ということになる。
この制度が売れ行きを大きく後押ししていることを忘れてはならない。
また、あまりにも急激な勢いで受注があがるため、ある問題点が浮上している。取得税、重量税の免除は、契約時に既に値引いてあるので問題ないがが、最大25万円の補助金に関しては、プリウスの登録時に申請して、後日支払われるという仕組みになっている。その支払われる補助金に当てられる資金枠が当然決まっているわけで、登録はかなり先のことであるため、現時点で購入してもその枠に入れるかが微妙な雰囲気なのである。
今はまだ「微妙」という段階だからまだいいが、しかしもうしばらくすれば、確実に枠からもれてしまう。そうなったときに消費者の購買意欲はどこまで下がるのか?
極端な例を言えば、スーパーでキャベツの大安売りをしている。100個限定で1個10円で購入できる。それを目当てに長蛇の列ができ、順番に10円で購入していく。自分の前の人は10円だったが、自分は101人目で定価198円でしか購入できない・・・。そんなことがおきたら、購買意欲は、もともと198円の時より下がってしまうのが人間の心理ではないか?
プリウスとキャベツは同じではないが、購買意欲が景気の鍵である。購買意欲の青田買いは、本当の収穫時の不作を意味する。
この、プリウスの販売結果が本当の意味での景気追い風になってくれることを願いたい。
(TechinsightJapan編集部 ”自動車魂世界一”car journalist 木下)