”大人は知らない”一人のアーティストが今映画界で大モテだ。中高生を中心にカリスマ的人気を誇るロックバンド銀杏BOYZのギターとボーカルを担当する峯田和伸は、現在公開中の映画『USB』(奥秀太郎 監督・脚本)でヤクザの娘と逃亡するつかみどころのないチンピラを演じている。昨年に引き続き、今年も映画界からのオファーが絶えない峯田は、2010年ついに演劇界の若手奇才による話題の映画にも主演する。今、なぜ峯田和伸なのか。
今年2月に公開された宮崎あおい主演、宮藤官九郎監督の映画『少年メリケンサック』の主題歌「ニューヨークマラソン/少年メリケンサック」の作曲(作詞は宮藤官九郎)を手がけ歌う銀杏BOYZの 峯田和伸 。今年は現在公開中の映画『USB』(奥秀太郎 監督・脚本)の他、夏にはみうらじゅん氏の同名小説をもとにした、田口トモロヲ監督作品第2弾『色即ぜねれいしょん』の主題歌を主演の渡辺大知(黒猫チェルシー)と、岸田繁(くるり)の3人でコラボする。この映画で峯田は、ヒッピー風の家庭教師を演じる。
峯田は、みうらじゅん原作、田口トモロヲ監督のコンビの第1弾の映画『アイデン&ティティ』(2003年12月公開、宮藤官九郎:脚本)で、ロック・ミュージシャン中島役を主演。その後は、大槻ケンヂの半自伝的小説(漫画)の映画化『グミ・チョコレート・パイン』(2007年12月公開 ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督)でAV男優役に扮し、また銀杏BOYZが青春映画『俺たちに明日はないッス』の主題歌を担当したりと、音楽・映画とバランスの良い活動を続けている。
そして2010年公開が予定されている、小学館ビッグコミックスピリッツで連載された人気漫画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(花沢健吾原作)の映画化で主人公の田西敏行を演じている。こちらを監督するのは演劇ユニット「ポツドール」主宰の三浦大輔。
音楽、映画、演劇のクリエーターたちからの熱いニーズが集まる峯田の魅力とはどのようなものなのか。
銀杏BOYZのライブは激しい。彼らのパフォーマンスが絶頂に達すると峯田はつい全裸になってしまう。海外でもハダカ騒動を起こす。また、映画の記者会見で共演者の女優に失礼な質問をした記者を本気で問い詰めたりと、ロックアーティストらしい強気でまっすぐな面がある。
しかし、峯田本人は女装しても違和感のない愛嬌のある顔をしており、その目はやさしくキョトンとしている。くるくる変わるアスタイル(ちなみに今は長髪と髭でモジャモジャ。)で、様々な持ち味を演出できる。この使い勝手の良さが、映画界からのオファーの理由でもあるだろう。歌手だけではもったいない魅力がある。音楽ではこの夏、なぜかお笑いの板尾創路とコラボレートする予定だ。
TVに出ないから大人は知らないけれど、音楽、映画の世界では若者たちのカリスマ。峯田和伸のスケールの大きい魅力はいずれ、サブカルチャーのヴェールを破り、表舞台へと広がっていく事だろう。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)