先日、米ロサンゼルスからサンフランシスコまで毎日飛行機で通勤するビジネスマンのニュースをお伝えしたが、ドイツのミュンヘンでは川を泳いで通勤している男性が存在した。『BBC Capital』『Oddity Central』など複数のメディアが伝えている。
ミュンヘンのBaldeplatz地区でイザール川沿いのアパートに住むベンジャミン・デイヴィッドさん(40歳)は、日々多くのミュンヘン市民が通勤に利用する車や電車、バスなどの交通手段を利用することなく、ちょっと風変わりな通勤手段でKulturstrandにある勤務先へ向かう。
アルプスからミュンヘン市内に流れるイザール川を毎日2km泳いでいるベンジャミンさんは2年前まで、酷い交通渋滞に巻き込まれながら日々通勤していた。しかしストレスが溜まることにうんざりし、川を泳いで出勤する手段を選んだ。
夏の間、水温が14度~22度になるというイザール川をベンジャミンさんは30分かけて泳ぐ。彼は公共の場での文化・商業活動のコンサルティングサービスを行う会社を起業しており、毎年3か月間はイザール川下流での文化イベント「the Culture Beach」の開催に関わっているそうだ。川から上がると水着のままイベント会場のバーへ向かいカプチーノを注文する。そしてタオルで体を拭きシャツを着て、仕事前の朝の1杯を楽しむ。
渋滞に巻き込まれながらやってきた同僚たちは、一足お先に寛いでいるベンジャミンさんの姿を見て笑うそうだ。また泳いでいる姿を橋の上から見た人たちが「何をしているのか」と尋ねてくることもあるという。
冬の間は川の気温が下がるため時折しか泳がないそうだが、夏でもベンジャミンさんは水の怖さを考慮している。家族がいる立場ゆえリスクは犯さないことを心に決め、毎日水量や水温、流れの速さなどコンピュータでチェックすることを怠らない。また、気温によって海水パンツや半袖や長袖のウェットスーツを着用する。
一旦泳いで出勤と決めれば、スイス・バーゼルの若手デザイナーが発明した魚型防水バッグ「ヴィッケルフィッシュ(Wickelfisch)」という特殊な袋にラップトップやスーツ、靴、タオルなどを入れる。この袋は防水加工がしてあるだけでなく、袋を閉じると膨らんでブイの役割を果たすそうだ。そのため泳いでいる途中で疲れたら、この袋を抱えて浮かぶことも可能だという。泳ぐ時にはストラップのついたゴムサンダルを履き、川底にあるガラスの破片などで足を傷つけないようにしている。