生まれたばかりで親から見捨てられた仔犬がメス猫から乳をもらって育つ。そんな温かい情景が伝えられることは時おりあるが、ヒトの子供が犬に育てられるというのは今の時代まず聞かない。このほど南米チリで…。
チリの首都サンティアゴから2,000kmほど北に位置するアリカという海辺の町から珍しいニュースが飛び出した。親のネグレクトゆえにお腹を空かして徐々に弱っていった隣家の2歳男児を、間もなく母親になろうというそのメス犬は見るに見かねたのであろう。なんとその子に母乳を与え、飢えから救っていたことを『Global News』ほか複数のメディアが伝えている。
優しい母性でヒトの子にも乳を与えていたのは、自動車修理工場で飼われているメス犬の“Reina”。妊娠して母乳が分泌されるようになったReinaの腹に隣家の2歳の男児が顔を寄せて懸命に乳首を吸っている様子を発見し、飼い主のLory Escuderoさんは驚いて通報した。男児は保護されると健康チェックのため病院に運ばれたが、Diego Gajardo警視の発表によれば、栄養失調、毛ジラミ、皮膚感染症などが確認されたものの間もなく退院となり、現在は児童福祉当局のケアのもとで家庭裁判所のヒアリングを待っているという。
なおアルコールへの強い依存が認められて母親も医療施設に収容されたが、男児への虐待行為などはなく、保護責任者遺棄として咎められることもないもようだ。チリの人々もペルーやボリビアとの国境に近いそのあたりを極貧地区と呼んでおり、そうした国から仕事を求める人々が次々と流入して失業者であふれかえっているという。
※ 画像はibtimes.co.ukのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)