罪を犯した者に対し法の力で正しく裁こうとする法廷で、あってはならないハプニングが起きたことを米ミシガン州デトロイトのメディアが報じている。娘を殺された父親が被告人の顔面を殴ってしまったものだが、市民からは「少しでも胸がスカッとしたのではないか」「心情は理解できる」との声が集まっている。
デトロイトのメディア『Detroit Free Press』が伝えているところによれば、犠牲者の遺族が被告人を殴るというハプニングが起きたのは、ミシガン州ウェイン郡の「郡巡回裁判所」。この法廷が取り扱っていたのは、2014年9月に当時3歳であったジャミーラ・スミスちゃんが激しい暴行を受けて死亡したという事件で、幼児虐待および過失致死の容疑に問われた母親のジャズミン・ゴードンとその交際相手のクリフォード・トーマスという男に対し、先月上旬に有罪の評決が下っていた。この時は、被害者の父親がこの裁判における遺族としての感想や心情を述べる「インパクト・ステートメント(Victim Impact Statement)」を行うために開かれたものであった。
この画像は同メディアが伝えた記事のスクリーンショットだが、左の白いシャツの男はジャミーラちゃんの父親ドウェイン・スミス。そして殴られた黄色いシャツの男が被告人のトーマス被告、その手前でダークグリーンの上下を着ている女がジャズミン被告である。あまりにも素早いスミスの動きに、その暴挙を止められる者はいなかった。映像でも確認したが、スミスはインパクト・ステートメントを行う準備の最中にいきなり飛び出してトーマス被告を殴っており、即座に保安官が割って入ったが、トーマスもかなり攻撃的な態度で応戦しようとしている。なお「ジーザス、ジーザス…」と繰り返し泣き叫び、パニックを起こしてしまったジャズミン被告も別室へと連れ去られた。
またスミスは法廷からの退去を命じられ、他の親族がそのインパクト・ステートメントを行い、マーガレット・ヴァン・ホーテン裁判長が両被告に量刑を言い渡して閉廷した。スミスの行った暴力および法廷侮辱という行為はいずれも許されるものではないが、怪我もないことからトーマス被告が被害届を出すには至らず、裁判官もスミスに対する咎めについては検討しないという。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)