相手が銃を持っている可能性を視野に、怪しい人物に対しては威嚇も含めて警察官が容易に発砲するアメリカという国。このほどそんな発砲により未来ある17歳の若者が命を落としてしまった。警察官は「Wii」のコントローラを銃だと思ってしまった可能性が高く、一瞬にして引き金を引いたという。
ジョージア州バートウ郡ユーハーリーで14日、17歳の少年が誤って警察官に射殺されるという大変痛ましい事件が起きた。亡くなったのは周囲からの評価も高く、高校の予備役将校訓練課程を経て海軍への入隊が決まっていたクリストファー・ロウプ君(画像はmirror.co.ukのスクリーンショット)。ユニフォーム姿もりりしい息子の写真を前に、家族は「悔やんでも悔やみきれない事件だ」と肩を落としている。
事の発端は、クリストファー君の父親が保護観察期間中に違反行為を犯したことであった。警察官が令状を手にその自宅を訪れたところ玄関に現れたのがクリストファー君で、彼がその時手にしていた任天堂「Wii」のコントローラを女性警察官が銃を握りしめていると勘違いした可能性が高い。クリストファー君は胸を一発撃たれて即死している。
警察官はあくまでも「あれは銃だった」と主張しているが、家族ばかりかケン・イエェーツさんという隣人もそのシーンを目撃していた。イェーツさんは「発砲はドアを開けてすぐのことだった。その女性警察官は頭を抱え、呆然とした表情で玄関の外に出てきてオイオイと泣き始めた」と語っており、州捜査局が事実関係を調査中だが、家族は弁護士のコール・ロウ氏とともに警察と全面的に争う構えをみせている。
アメリカの警察官が容易に発砲する背景には、『Stand Your Ground Law(身の危険を感じたら殺してもよい)』という法律がある。銃による痛ましい事件が後を絶たないこの国で、厳しい銃規制を求める声の前に立ちはだかる壁のような法律だ。時には相手を銃殺し、そこに正当な権利を主張する警察官であれば、人が握っていると銃と見間違いやすい物を普段から把握すべきである。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)