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writer : techinsight

【Pray for Japan , from the world】「日本が第二のギリシャに」。東日本大震災、米メディアはどう見たか その3 日本経済&グローバル経済への影響

「東日本大震災を米ニュースメディアはどう見たか?」その3では「災害史上最大の経済損失」をもたらした東日本大震災が、日本経済とグローバル経済に与える影響について、米主要メディアの報道をまとめた。

大震災発生当初は、米経済の専門家がこぞって震災後の日本経済の行方と、グローバル経済への影響を懸念した。

ブルームバーグTVでは大震災発生当日、ニューヨーク大学教授のヌリエル・ルービニ氏が「日本にとって財政赤字削減に苦しんでいる最悪の時期に、最悪の事態が発生したことは明らかだ。」とコメントした(写真上)。ルービニ氏は、08年のリーマンショックに始まる世界的金融危機を予測したことで知られる著名エコノミストだ。

米オバマ政権の国家経済会議(NEC)前委員長で米ハーバード大学教授のローレンス・サマーズ氏も同日、CNBCに出演し「この大震災は、日本の経済回復への挑戦を複雑なものにするだろう。」と発言した(写真下)。

一方、米メディアでは日本の大震災の経済損失について、さまざまな予測と分析を早いうちから報じていた。

CNNは、地震発生2日後に、試算会社による経済損失の予測が1000億ドル(約8兆円)であると報じ、それに基づいて東日本大震災は「世界の災害史上、最も損失が大きいものになる。」と説明した。

大震災の4日後にはインターネット新聞のハフィントン・ポストなども、「日本の大震災の単純被害額は1700億ドル(約14兆円)ドルを超える」というロイターの試算を紹介し、それにより「経済損失額の大きさで見る世界大災害のランキング」に変動が生じ、東日本大震災が新1位となったと説明した。ちなみに2番目が08年の中国の四川大地震(損失額85ビリオンドル)、3番目が05年の米ハリケーン・カトリーナ(同81ビリオンドル)。以下10年のパキスタン洪水、10年のハイチ地震、04年スマトラ島沖地震と続く。

その後世界銀行の3月21日の発表では、「大震災による日本の経済的損失は最大2350億ドル(約19兆円)となる可能性、復興には5年間がかかる」との見通しを示した。その後に、与謝野経済財政担当相が明らかにした日本政府の公式発表では、原発事故や計画停電による影響をのぞいた被害額は、15兆~25兆円にのぼるとの試算だ。

また、大震災から1週間が過ぎようとする頃から、米メディアでは「日本のビジネスが受ける影響」そして「グローバル経済への影響」の2点にも疑問を集約してきた。その中で、トヨタやホンダ、日産、そしてソニーといった日本を代表する数々のグローバル企業が大震災の影響で一時的に工場生産の停止を強いられたり、部品供給ができなくなった状況を注意深く報じた。

ウォールストリート・ジャーナル紙では3月25日、「海外のさまざまな産業・企業は、この島国にどれだけ多くのものを頼ってきたか、あらためて実感することになった。」と報じ、日本からの先端技術部品の供給が滞ることで、グローバル・サプライチェーンに深刻な影響が出ている現状を、業界ごとに詳細に報じた。

また、タイム誌電子版では先月31日の記事で「原発事故の収拾がつかず、インフラ回復からもほど遠い今、日本のグローバル製造業の工場で本格生産が開始できるまでは時間がかかる。そうなると、この日本での混乱はグローバル製造業のネットワークにも、引き続き影響を及ぼし続ける。」と予測。それによって日本経済の見通しは「かなり酷いもの」になっていると指摘した。

経済危機を起こしたギリシャに例えて、「このままでは日本もギリシャになりかねない」というトーンの報道さえ出て来ており、東日本大震災は、地震、津波、原発事故に次ぐ4番目の被害として、今後は「経済」が間違いなく深刻視されるようになっていくだろう。

画像&参考=http://www.bloomberg.com/video/67533886/ 及び
http://www.cnbc.com/id/15840232/?video=1837577735

(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)