ファッション雑誌や広告で活躍中の人気モデルが、テレビを通して人生を左右する秘密をカミングアウトした。その時の状況が8月31日放送のテレビ「魔女たちの22時」の中で紹介された。
佐藤かよ(21)は昨年まで名古屋を中心に人気のあるファッション誌「東海スパイガール」でモデルとして活躍していた。この夏1年ぶりに同社編集部を訪れた彼女は編集長やスタッフにあいさつすると「聞いて欲しいことがある」と時間をとってもらったのだ。
佐藤かよのいつになく深刻な表情から編集部スタッフらもただならぬ雰囲気を感じ取っていた。「あの…」となかなか言葉が出せない彼女がついに語ったのは「わたし…実は男の子としてこの世に生まれてきました」という告白だった。しばらく沈黙が続いたが、スタッフらはびっくりしたものの「わざわざそれを伝えに来てくれたのが嬉しかった」と彼女の事実を受け止めてくれたのである。
佐藤かよは子どものころから男子の体と女子の心をもち、1人で悩み続けていた。そんな子ども時代を送った彼女は中学生を卒業すると決心して家出したのだ。その足で夜中に女子の友人を訪れた。女性用の服を借りるためである。幼い頃からのつきあいだった友人は佐藤の心情を察すると何も尋ねずに服を貸してくれたのだ。この時から女性としての生活がはじまった。自立した佐藤は4年後には夢に見た婦人服のショップ店員となる。やがてそんな彼女をみたモデル事務所の者がスカウトするのだ。
以来、彼女は前述の「東海スパイガール」など数々のファッション誌や広告でモデルとして活躍していた。佐藤かよはモデル名であり、実際には男性なのだが周囲は女性と信じきっていた(混乱しないよう『彼女』と記述する)。彼女は性適合手術、整形手術など全く受けていないという。だが、声も女性らしく、本来毛が薄い体質なのでヒゲなどにもあまり気を遣わないで済む。男性の体のままで女性モデルとして人気を得たのである。
ところが今年、彼女が所属する事務所の社長に「佐藤かよは男だという噂がある」という内容のメールが届いた。社長はバカなメールが送られて来たとそれを佐藤に見せた。実は、彼女が整形もせずに本来の顔でモデルをしている為に、同級生の中に気づく者がいたようなのだ。メールだけでなくネットにも書き込まれたりした。彼女はそういう状況を知ると真剣に悩んだ。そして悩みぬいた末に決心して社長に男であることを打ち明けたのである。社長も懐が深かった。初めは驚いたがモデルの仕事で相手に迷惑がかからないように、彼女が現在している契約をすべて解約するとテレビでカミングアウトすることを許したのだ。
こうしたいきさつで、8月31日に同番組で佐藤かよは男であることを明かしたのである。佐藤かよはブログ「あんにゅいまいぺーす」を開設しているが、彼女のカミングアウトを聞いた読者から驚きと励ましのコメントが多数届いている。新たな気持ちでモデルとしてスタートしても『応援するよ』という内容がほとんどで、カミングアウトした後にも彼女の美貌と人柄を支持するファンが多いことを証明した。
同番組で彼女がカミングアウトするその場に、IKKOとはるな愛がいたことも印象的だった。それぞれに形態は違うがこの2人がいなければ佐藤かよがカミングアウトできる環境はなかったはずだ。ただ、2人は全く整形しない彼女があまりに美しいことに嫉妬もおぼえていたようだが。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)