動物実験の倫理問題は常々議論を呼んでいるが、このほど自動車の衝突試験に生きた子ブタを使った論文が発表されていたことが分かった。交通事故における子どもの胸腹部への衝撃を調べ、より良いシートベルトを開発するための実験で、解剖学的に6歳児に近い子ブタが使われたという。『自由時報』『NOWnews』などが伝えている。
問題になったのは今年1月、『International Journal of Crashworthiness』(国際耐撞性雜誌)に掲載された論文だ。中国・重慶市にある第三軍医大学の研究員7人が、子ブタを3つのグループに分け、シートベルトを胸腹部に平行に着用するパターン、肩から斜めがけと腹部に着用するパターン、両肩からクロスに着用するパターンの3パターンで、時速約50キロと約30キロのスピードで壁にぶつかった場合の衝撃を調べた。
実験に使われたのは生後6~7か月の子ブタ15匹。実験により7匹が死に、8匹が怪我をした。死んだ7匹を調べたところ、衝撃で損傷がもっともはげしかった部位は肺で、脾臓、肝臓と続いたという。論文には、同様の方法で今後も実験を行う可能性が記されていた。
この動物実験は今月1日、英メディア『インデペンデント』が報じたことで明るみに出た。これを受けてアメリカの動物保護団体「PETA」(動物の倫理的扱いを求める人々の会)は、