writer : tinsight-takazawa

“2019年はGovTech元年” 神戸市が「GovTechサミット」開催 テクノロジーを活用して市民サービスをより良いものに

「GovTech(ガブテック)」という言葉をご存知だろうか。政府(Government)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語で、「政府・自治が市民サービスをより良いものにしていくため、テクノロジーの力を活用する取り組み」のこと。近年海外でも使われている言葉だが、日本ではまだ馴染みがないようだ。この「GovTech」をテーマに、神戸市が2月10日に東京・丸の内SMBC ホールにて「GovTechサミット」を開催した。地方自治体が、GovTechをテーマにしたイベントを開催するのは全国初となる。イベントではテクノロジーを活用することで人々の生活がより豊かになる可能性について探るなど、GovTechの未来を感じられる内容となった。

神戸市副市長・寺崎秀俊氏による開催の挨拶の後に登壇したのは、IT批評家・尾原和啓氏だ。「GovTechという緩やかな革命-テクノロジーを手に、誰もが参加できる行政の仕組み」をテーマに講演を行った尾原氏は「阪神・淡路大震災の際にボランティアとして参加し、インターネットが浸透していなかった当時、アナログで分散していた避難所の情報を集約した経験から、“人と人を繋ぐ仕組み”、ハブとなるプラットフォームの重要性を実感した」と自身の体験を交えて話した。また「東日本大震災では、掲示板の消息情報が画像やテキストのデータとして出回ったことで、多くの人が消息情報を得られたり、GoogleがGoogleマップ上に封鎖された道の情報を反映させたことで、多くの人が避難物資を届けられたりした。その様子を目の当たりにし、“仕組み”が人の笑顔を作ることに気づいたことが私のGovTechの原体験です」と熱く語った。

熱く語る尾原和啓氏

また、尾原氏は「GovTechの実現には、市民一人一人が参画しデータを集約していく“互助(Civictech)”や“共助(Local GovTech)”の力が重要となるが、日本では依然として政府・行政による“公助(Country GovTech)”の力が大きく、人々が距離を置いて他人事化してしまう構造が存在する。今後は、“互助(Civictech)”と“共助(Local GovTech)”との領域を両方拡大させていく構造が必要になる」と日本の課題を指摘した。

「GovTechサミット」登壇者たち

神戸市は、スタートアップ・ベンチャー企業と行政職員が一緒に、社会・地域課題を解決するサービス開発を目指す「Urban Innovation KOBE」を2017年にスタートさせた。イベントではこの事例も紹介した。たとえば、

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