「女性に対する暴力撤廃の国際デー」であった11月25日、この日は世界各国で様々な集会が行われたほか、フランスではマクロン大統領が国内における対策を発表したことなどが話題となった。だが残念なことに女性に対する暴力や虐待は、インドやアフリカのようにあからさまな性差別がはびこる国や地域だけでなく世界中で発生している。このほどイタリア南部ジッツェリーアでも19歳だった女性を10年間地下室に閉じ込め、性奴隷のように扱っていた52歳の男が逮捕された。
『La Repubblica.it』『Il Quotidiano del Sud』などイタリアの複数メディアによると、2007年にルーマニアからやって来た当時19歳の女性が男の家族の介護人として雇われた。だが介護を担当していた家族の死後、女性は男から身体的そして性的に暴力を振るわれるようになり、同時に地下室に監禁されることとなった。女性が逃げ出さないように地下室の扉は鎖で固定され、ベッドはダンボール製、水道やトイレはなく代わりにゴミ箱が置かれるなど劣悪な環境の下、彼女は男から日常的に暴力を受け続けた。時に女性は重傷を負うほどであったが、傷口はなんと釣り糸で縫われていたという。
このような異常な生活の中で、女性は男との間に男児(現在9歳)と女児(現在3歳)を出産した。妊娠中や出産の時も医師に診てもらうことなく、地下室での出産を強制されている。
10年間明るみに出ることのなかったこの事件が発覚したきっかけは、警察の交通取締りであった。息子を乗せ運転していた男の車があまりにひどい状態であったために呼び止めた警察官は、2人の態度が妙なものであったことや息子の着ている服がひどく汚れていたことで事件性があると判断し、彼らの自宅を訪問したことで地下室にいた女性が発見された。